photo by Jeff Ruane
負けない人たちがいる。
僕の周りにも、たくさんの負けない人たちがいる。
僕のなかで、いま、もっとも輝いている負けない人は、Yさん。
64歳でカフェを開いた。
自分のためにではなく、社会に適合できない若者たちの働く場所をつくるために。
負けない人は、いつも朗らかに笑っている。
負けない人は、毎日忙しく立ち働いている。
負けない人は、いつも考え、工夫している。
負けない人は、まっすぐに相手を見て、心に沁みるような話し方をする。
負けない人は、歳なんて考えない。
負けない人は、何歳になっても、旅に出て、好き好んで、荒野を歩く。
負けない人は、荒れ野を前に決意する。
負けない人は、みずから鍬をとり、土を耕し、花の種を植える。
負けない人は、誰かのために生きている。
負けない人は、夜、涙をこぼし、朝、顔をあげる。
負けない人は、なんども負けたことのある人だ。悔し涙の味を知っている。
僕は自分に問いかける。
自分の理想を追い求めることをやめそうになっていないかと。
Yさんみたいに、勇気をもって今もそれを、熱く求めているかと。
みんなの顔をまっすぐに見て、心をすっかりと開いて話をしているかと。
みんなの思いをちゃんと受け止めることを、恐れてはいないかと。
そろそろ歳だからって、自分の歳をなにかの言い訳にしていないかと。
花がないことを嘆くのではなく、Yさんのように、みずから鍬をもって、土地を耕しているだろうかと。
毎夜、悔し涙を流しているだろうかと。
そして、それでも、朝になったら、Yさんのように底抜けの笑顔で新しい日々に立ち向かっているだろうかと。
僕も、Yさんのような、負けない人になりたい。