ダルビッシュのやりきれない敗戦、ヤンキースの珍しい『不手際』のせいだった

現地23日、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有がニューヨーク・ヤンキース戦に先発した。敵地ヤンキースタジアムでの4連戦。前夜は延長14回でヤンキースがサヨナラ勝ちし、1勝1敗で迎えた第3戦だったが、前夜の半分もプレーしないうちに試合は終了。珍しい『不手際』のせいだった。

現地23日、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有がニューヨーク・ヤンキース戦に先発した。敵地ヤンキースタジアムでの4連戦。前夜は延長14回でヤンキースがサヨナラ勝ちし、1勝1敗で迎えた第3戦だったが、前夜の半分もプレーしないうちに試合は終了。珍しい『不手際』のせいだった。

この試合、ダルビッシュは初回を3者凡退、2回には得点圏にランナーを背負うも、イチローを156キロの速球で三振に仕留め、ピンチを凌いだ。そして3回に味方が先制するが、その裏、1死3塁、ブレット・ガードナーを打者に迎えた場面でメジャー2度目となるボークを取られ、同点のランナーが生還。球場がざわつく中、高めに浮いた速球をガードナーに勝ち越しソロアーチを打たれてしまった。

ただ、1-2と逆転されたものの、ダルビッシュの状態は良かった。だが、この後の5回裏ヤンキースの攻撃中に不手際が起こった。雷雨が襲い、グラウンドクルーが雨用タープを被せるのに手間取ったのだ。ヤンキースのグラウンドクルーと言えば、ヴィレッジ・ピープルのヒット曲「Y.M.C.A.」に合わせてダンスしながらトンボかけをすることでも知られるプロ集団。

当然、大雨の対処もすみやかにこなすのだが、この日のバケツをひっくり返したような雨でタープはみるみる重くなり、ビクともしない事態に。ボールボーイまでが手伝うドタバタ劇の末、何とかタープを掛け終えるも、グラウンドが水浸しになってしまった。

試合はこのまま中断へ。ダルビッシュも「2時間ぐらい(の中断時間)ならいけます」と直訴し、ゲーム再開へ向けて準備していたという。だが、あまりのグラウンドの状態の悪さに両監督も「これでは選手がケガをしかねない」と懸念。一度は再開が告げられていたが、1時間49分の中断の後、降雨コールドゲームとなり、レンジャーズが1-2で敗れた。(参考:MLB公式HP

現地メディアは試合後、これを対照的に報じている。勝ったニューヨークのNew York Timesは「土砂降りの中、グラウンドクルーが手間取ったおかげでヤンキースは助けられた」とハプニングが奏功したと伝えた。(参考:New York Times)

敗れたテキサス側ではThe Dallas Morning Newsが「ニューヨークのグラウンドクルーが降雨のタープ掛けで未曾有の大失敗」と類稀なミスと題した記事を配信。クルーの仕事ぶりを否定してはいないものの、前代未聞の出来事として注目した。レンジャーズのワシントン監督も、「クルーは必死だったけれど、タープはがんとして動かなかった」とフォローしている。(参考:The Dallas Morning News

ただし、レンジャーズファンの悔しさは晴れていないようだ。公式Facebookには、「あんまりだ」「自然の脅威だから仕方ない」という落胆の声だけでなく、「タープの問題なので試合は延期にすべき」「こんな負け方は納得できない」「ヤンキースのクルーによる陰謀だ」といった抗議のコメントがあふれている。(参考:レンジャーズ公式Facebook

ダルビッシュは勝てば、野茂英雄、黒田博樹に続く日本人3人目となる、メジャー3年連続2桁勝利だった。好調だっただけにダルビッシュも「これで負けなのか」と心残りの様子。レンジャーズはこれで、ロードでは最近の18試合で15敗目、7月の成績は3勝16敗…。

期待のエース先発も、文字通りの泥沼となってしまった。ダルビッシュには、次こそは気持ちよく10勝目を挙げてほしい。

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スポカルラボ

MLBをはじめ海外スポーツに精通した英日翻訳ライター3人による メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多用な魅力を独自 の切り口で表現し、人生の選択肢はたったの一つや二つではない、 多様なライフスタイルを促進することをミッションに掲げて活動中。 Facebook→スポカルラボ

(2014年7月25日「MLBコラム」より転載)

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