人類にとって進歩とはなんだと思いますか。
こんな話があります。人類が狩猟採集だった頃、1頭のマンモスをチームワークで倒せるようになったことは良い進歩だった。しかし100頭のマンモスを崖っぷちから突き落とすことを覚えたことは、悪い進歩だと。進歩には、悪い進歩と良い進歩があるのかもしれません。
映画『サバイビング・プログレス − 進歩の罠』より
現代の科学技術の進歩はめまぐるしく、日進月歩で新しい技術が生み出されています。しかし、一見魅惑的に思える技術が、直面している課題解決に役立ったとしても、将来を犠牲にしていることが多く、やがては大きな問題となる。それを「進歩の罠」といいます。
漁業でもハイテク化が進み、例えばマグロが、例えばうなぎが海から消えようとしています。
特集:地球の悲鳴 魚が消えた海 2007年4月号 ナショナルジオグラフィック
第1回 乱獲で資源は危機的に、生息地破壊も一因 ナショナル ジオグラフィック
今さえ良ければいい、問題は未来の世代がなんとか出来るだろうという楽観では、現代文明は崩壊してしまうかもしれません。
ドキュメンタリー映画『サバイビング・プログレス − 進歩の罠』は、まさに21世紀を生きる私たちに文明崩壊の警鐘を鳴らす渾身のドキュメンタリーです。
本作品のナビゲーターのロナルド・ライトはこう言います。
「ものごとがあまりにも速いスピードで進行するため、手を打たないこと自体がもっとも大きな過ちのひとつになる」
「必要なのは、たんに短期的な思考から長期的な思考へのシフトであり、無謀と行き過ぎから、節度と予防原則へのシフトなのである」
「私たちには、資源を分かち合い、汚染を浄化し、基本的な保険医療や産児制限を実行し、自然の限界に合わせて経済活動を制限するための道具や手段がある」
『暴走する文明--「進歩の罠」に落ちた人類のゆくえ』
ロナルド ライト (著),星川 淳 (翻訳)より
手遅れになる前に、きっとできることはあるはずです。
『サバイビング・プログレス − 進歩の罠』のマチュー・ロワ監督を8月にカナダから招聘することに致しました。トークゲストは、田坂広志さん、藤沢久美さん、伊勢谷友介さん、SUGIZOさん、谷崎テトラさん、そして辻信一さん。一緒に、人類の未来について、映画を観て考えたいと思います。よろしければご参加ください。