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2018年06月26日 10時56分 JST | 更新 2018年06月26日 10時57分 JST

ちょっと日常を離れたら、僕も知らない「もう1人の自分」が現れた。

場所が変わったら、アイデンティティーも変わった。

ツアー参加者提供

6月に入った。

企業の就職活動が本格的にスタートし、リクルートスーツの学生を見る機会が増えた。

自分もついこの間まで同じような大学生だったが、いつのまにか「新卒」とは呼ばれなくっていた。もう社会人2年目だ。

2年目になると仕事に余裕ができると聞いたけれど、相変わらず僕には余裕がない。暇を持て余した大学時代から一転、今となっては心のゆとりを持つ感覚を若干忘れつつある。

そんないつもの慌ただしい1日の始まり、通勤電車の中で、偶然見つけたのがこの記事だった。

Huffpost Japan

働き方改革のひとつとして注目される「2拠点居住」や「リモートワーク」を体験したり、実際に東京と長野県の2拠点を行き来する人とのトークセッションに参加したりできる1泊2日のメディア発ツアーだった。

「面白そう!」。そう思って応募したらなんと当選してしまった。よく考えたら、このツアーは平日金曜発の日程だ。

最終的には好奇心が勝り、会社からお休みをもらって参加することを決めた。

どんなツアーだった?

「新しい働き方を体感できる」というくらいの事前情報で臨んだのだが、ハフポスト記者の笹川さん、浜田さんのお2人が引率してくれたツアーは、予想していなかったほど自分の日々の過ごし方を大きく変えてくれた。

ツアー参加者提供
参加者で撮った一枚

6人のツアー参加者は、全員僕のようにハフポストの読者。2拠点居住という新しい働き方に挑戦しようとしているフリーランスの方や、外資系企業で働きながら、全国の地方でリモートワークを実験している方、僕のように日常からちょっと外れて今後のことを考えてみたいという人まで様々だった。

ツアー参加者提供

そんな初めましての面々で、自然に囲まれた森のオフィスでリモートワーク体験をしたり、2拠点居住を実践する方から2拠点居住のリアルな話を聞いたりした。

フリーランス協会提供

Huffpost Japan
トークセッションの様子

夜には、Googleマップにも表示されない深い森の中にあるコテージに宿泊し、日付が変わるまでみんなで焚き火を囲んで、お酒を飲みながらゆるく語り合った。

ツアー参加者提供
焚き火体験は本当に癒されて今回のツアーで1番ハマりました

新しい働き方や生き方に触れ、富士見町の自然も十二分に体感することができた。

2拠点居住は「もう1人の自分」を持つこと

僕がツアーを通じて印象に残っているのは、初日のトークセッションで、森のオフィス代表の津田さんが言っていた「場所が変わるとアイデンティティも変わる」という言葉だった。

津田さん自身、森のオフィスを立ち上げるまでしばらくは東京と長野が半々ぐらいの生活をしていたが、長野にいるときの自分の方が好きで、最終的には生活の拠点を長野に移し、たまに東京に行くというライフスタイルに変えたという。

僕もプチ2拠点居住をしてみて、富士見町にいる方が、 慣れ親しんだはずの東京にいる時よりも、むしろ心が落ち着いた。自然体で素の自分として振る舞えたと感じていた。

東京にいるときの、余裕のない自分は長野にはいなかった。

なんというか、東京とは別の自分だったのだ。

東京にいるときは、「何かタスクが抜け漏れてるんじゃないか」と心配したり、ご飯を食べながら来週の予定について考えたりするような、「心ここにあらず」の僕だ。

ところが富士見町では、「いま、この場所」をちゃんと感じられた。ご飯を美味しく食べたり、目の前の焚き火の暖かさをきちんと感じたりする、心がちゃんとある自分だった。

今回東京と長野を行き来し、アイデンティティが変わるような体験を通じて思ったのは、2拠点居住は「もう1人の自分」を持つことなんじゃないか、ということだった。

時間の流れが早い東京で家と会社を往復する生活をし続けていると、目の前のことで頭が一杯で、どうしても同じ視点でしか物を考えられなくなる。

そうすると、会社でうまくいかないことがあった時、プライベートでもひきづってしまいがちだ。

もし、長野に「もう1人の自分」を持てたら、もう少し冷静に東京での自分をかえりみることができる。

仕事上の失敗も、キャリアの心配事も、長野の自然の中に身を置いていたら、大した問題に感じなくなるかもしれないし、改善のためのアイデアがふっと湧いてくるかもしれない。

kota kitano

「ひとつの場所しかない」というプレッシャーは、火事場の馬鹿力を生む反面、やっぱり疲れるし辛い。「他にも行く場所もある」と思える「逃げ場」を持つことで、解決できることもあるんじゃないかと思った。

2拠点居住は恵まれた人だからこそできること?

もちろん、2拠点居住は誰でもできることではない。森のオフィスで2拠点居住を実践する人も、「今の時点で2拠点居住を実現できるのは、恵まれている人であるとも言える」と話していた。

デザイナーやシステムエンジニアなど、パソコンひとつあれば場所を選ばずに仕事ができる人は、リモートワークといったあたらしい働き方を実現しやすいのだろう。

ツアー参加者提供

「時間と場所にとらわれない自由な生き方をしよう」といったキャッチフレーズで、新しいライフスタイルを紹介する本は増える一方で、それを実現できるのはごく一部の人たちだ。

「いつかこんな風に自由に生きたいなあ」と思っても、憧れのまま終わるのがほとんどじゃないだろうか。

しかし一方で、森のオフィスの津田さん、高柳さんはこうも言っていた。

「2拠点居住を実現できた人に共通するのは、①勝手にできないと諦めなかった人、②やりたいと常々口に出していた人、③なぜしたいのかを腑に落とし、そのために行動できた人、です」

できることから。もう一人の自分と出会える自分なりの「第二拠点」を見つける

ここまで偉そうなことをつらつらと書いてしまったが、僕はまだ社会人2年目だ。

複数の拠点を持って、東京と長野を行き来する生活をする以前に、1つ目の拠点ですら、まだまだぐらぐら、不安定だったりする。

だから今は、はやる気持ちを抑えて足元を一つずつ固め、理想を実現するための土台を作っていきたいと考えている。

一方で、今の時点でも、2拠点居住のようなことが全くできないとも思わない。少しの意思と行動が伴えば、意外と簡単にできそうだ。

ちょっと気分を変えて、いつもと違う休日を過ごしたいと思えば、スマホで往復6000円のチケットを買えば、今すぐにでも森のオフィスに行くことができる。一回の飲み代を我慢すれば、お財布的にも問題ない。

一度プチ2拠点をさせていただけたおかげで、ハードルもだいぶ下がった。

長野ほど遠くにいかなくたって、「もう1人の自分」と出会える場所は身近にもたくさんあると思う。

Facebookで流れてくるイベントに参加して、会社やプライベートでは合わない人と出会ってみたり、気になっていたカフェで今後のスケジュールを立ててみたりと、ちょっとでもいつもと違う自分に出会える場所を意識的に見つける。

森のオフィスのツアー後、ハフポストがブルーボトルコーヒーを会場にしたイベント「僕たちが、500人にコーヒーを"ごちそう"してみたい理由」にも参加した。会社でも家でもないあたらしい時間を過ごして、いつもと違うもう一人の自分に出会える場所だった。

Huffpost Japan

「場所が変わるとアイデンティティも変わる」

いつもと同じ場所で、同じような日々を繰り返していないだろうか。たまには違う場所に身を置いて、いつもと違う自分になる。

その大切さが学べた2日間だった。

(2018年6月13日 二拠点居住をやってみて。日々をより良くするためにもう1つの居場所を持つ大切さより転載)