「PTA役員決め」。
聞いただけで背中がゾクゾクする言葉です。新学期スタートを控えた年明けから3月は、PTAネタのピークですね。でも、待って。実は役員決めは年末から既に始まっているのをご存知ですか?
もしかしたらあなたも、役員候補に入っているかも...... 役員に誘おうと目をつけているのは、あなたをよく知るママ友かもしれません。
現役員が「来年度役員候補」に目をつけ始める年末
PTA会長をはじめとした本部役員、あるいは「長」がつく各部の部長たち。彼らの間では、年末の忘年会あたりから、ヒソヒソと「来年度はどうする?」という話が始まります。
本来、役員決めは4月、新学期最初の保護者会で行いますが、学校によっては3月に次年度の役員決めをする学校もあります(新1年生以外)。いわゆる執行部・部長クラスについては「1月中に候補者にアタリをつけて、現PTA委員が電話攻撃し口説き落とす」のも別段、珍しくありません。
「電話攻撃」とは、現PTA委員からの勧誘コールですね。早くから次の人材を確保し、PTA役員の「内定」を出していきます。特に本部役員・各部の部長&副部長クラスは内定で決まっていることが多いです。また、卒対委員(卒業対策委員会)や選挙管理委員(役員選出委員)なども、内定を出すところが多くあります。
そう、あなたの名前も既に候補者リストに並んでいるかもしれないのです! 明日にでも、勧誘コールがかかってくるかも......!?
「私はこうして勧誘された!」 〜実録:勧誘コールから内定まで〜
そして、この「内定」制度、非常に厄介なものなのです。実際に勧誘コールを受けたママに、体験談を語ってもらいました。
あれは12月の暮れでしたか、一度、PTA広報部長さんという方に保護者会でいきなり話しかけられました。特に親しくもなく、はっきり言って、見知らぬママ。といっても、立ち話で「下のお子さんも入学して、まだ委員さんはやってませんよね?」と軽くふられ、「いや~、そうなんですけど、ちょっと仕事が忙しくて。でもそのうちお手伝いするつもりです」と笑顔で拒みながら退散。やれやれ、危ないな~と思ったものの、すんなり話は終わったので、すっかりこの事は忘れていました。
ところが、1月。冬休みが明け、学校がスタートしてすぐ、夜にその広報部長さんからお電話頂きました。そもそもウチの学校は2月に翌年度役員や係の希望をとるアンケートを提出するのですが、それ以前に内定を取るのだと言うのです。
思わず「えっ?」と怪訝な声をだした私に「そうですよねぇ、ビックリしますよねぇ」と言いつつ、もうなかなか話を切り上げてくれません。「仕事が......」と口にすれば「私もほぼフルタイムで働きながらやりましたから、大丈夫」。さらには「暮れにお話させて頂いた時、お仕事で事務職だっておっしゃってましたから、パソコン使えますよね? 広報にピッタリですよ~」と!
あれって事前リサーチだったわけ!? なんだこの圧は! もう本当にビックリです。
来年度子どもは4年生になるという時期で、「今しかないですよ、だって高学年になって役員やるの大変でしょう?」...... エンエンと話は続きました。しかも、よーく聞いていたらヒラ部員じゃない、副部長になれ、って話なんですから慌てました。
結局、この見知らぬママからは3回お電話頂き、最後には「お宅にご説明に伺いますよ」「仕事行ってる? 大丈夫、夜行きますし、土日でもいいですよ」逃げるスキを与えない畳みかけに根負けした自分です......
そしてもっとヤバいのは、今。来年1月には私の次に副部長を引き受けてくれる人を探さなければなりません。次が見つからなければ広報部に残留しなくてはならず、残留となれば副部長ですから次はヘタしたら部長です! 部長になると本部役員同様に総会から会合すべての参加が義務づけられているのでこれだけは逃げたい。
結局、去年のママになりかわり、私自身が狙い撃ち「電話攻撃」せざるを得ないのです。イヤだけど、残留で部長はもっと困る。保護者会や行事はもとより、道ばたで見かけても、ちょっとでも知ってるママならば話しかけて仕事や家庭の様子をなにげにリサーチ。どう攻めれば落ちるのか、攻略法を考える日々。って、なんでこんなアホくさいことしてるんだろうって思いつつ、断ち切れないPTA役員決めの輪にがんじがらめにされてる私です。(Yさん、39歳/小4男児・小1女児)
もしかしたら、あなたの学校でも
「うわー、スゴイなー、そんな学校あるんだ! 大変ねえ」と思った方も多いでしょう。
ですが、この程度のPTA勧誘は決して珍しくはありません。PTAの組織や決め方は学校によって千差万別です。必ずしも勧誘型ばかりではありませんが、「次の人」を内定までいかなくても決めてかかる学校も少なくはないのです。
これまでヒラ委員やってきた人は、この辺りを知らないまま過ごしていることが多いようです。
「委員を1回はやったから私は大丈夫」と思った方も要注意。そうではないケースもあるんですよ、実際に。
どこのPTAでも、ヒラ委員や係は最終的に引き受ける方が多いです。そして誰もがやりたくない「部長」「本部」の委員は、なり手がないのが現状ですから、1度何かを引き受けていても、どこからお誘いがくるかわかったものではありません。
脅すわけではないですが...... でも、今からちょっと身構えておいた方がいいかも。どうしても引き受けられないならば、理路整然と出来ない理由を述べガンとして動かない。「はい」と言わない決意の強さは必要です。
PTAの役員決めには様々な問題があり、納得がいかないことも多いでしょう。でも、誰かが必ず、負担を担っているのが多くの学校のPTAの姿です。本来は有志やボランティアで回せれば一番良いのですが、そうもいきませんね。「PTA改革」というワードもあちこちで聞こえてきますが、なかなか進んでいないのが現状でしょう。
そうなると、です。結局、今年も暮れから来年度に向けて、密かな「人材確保作戦」が粛々と進んでいるかもしれません。
もしかしたら、あなたの学校でも......
【ライター 大橋 礼】
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌! 本とお酒があればよし。
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