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2018年07月06日 12時16分 JST | 更新 2018年07月10日 20時55分 JST

本棚は世界の縮図かもしれません

本棚から世界の架け橋となる子どもを育てていきませんか。

Culmony

本棚は、世界の縮図かもしれません。小学2年生の妹の部屋で、ふとそう思いました。

彼女の本棚には、カラフルで可愛らしいイラストが描かれている絵本が並べられていました。ある本の表紙には、金髪の女の子と黒人の男の子が楽しそうに公園で遊んでいるイラスト。別の表紙には、東南アジア系の子どもたちが仲良く食事をしているイラスト。アジア系の男の子や、赤毛の女の子、中東系の女の子が同じ教室で、ヒジャブで髪の毛を覆ったイスラム教の先生の授業を受けているイラストもあります。このような多様な人が自然と溶け込んでいる本棚は、私たちが生活をしているこの世界そのものでした。絵本を開いてみると、世界を旅しているかのような、世界が身近になったような気がつきました。

 

妹は、母の実家のあるチェコに住んでいます。チェコを始め、ヨーロッパの多くの書店には、妹の部屋にあるようなダイバーシティー溢れる絵本がたくさん置いてあるのだそうです。実際にどのような絵本が並べられているのか見に行くべく、書店に足を運んで見ました。

Naomi Iwazawa
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書店に入って、子どもたちの明るい声の響く方へ向かうと、自然と絵本のコーナーにたどり着きました。見渡すと、様々な肌や目、髪色を持つの人たちの絵が目に入ります。一人で読書をしている男の子もいれば、父親に絵本を読んでもらっている女の子もいます。子どもようの世界地図を開いて、クイズゲームを楽しんでいる親子もいます。ここでも世界の縮図となった本棚を見つけることができました。

一通り見渡したころ、インド系の親子が本を買いにきているのを見かけました。7歳くらいの女の子と母親が選んだ2冊の絵本を覗いてみると、1冊はインドが舞台の絵本、もう1冊は黒人の小さな研究者が挿絵に入った絵本でした。

Naomi Iwazawa
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 ーーチェコにも、インドを舞台にした絵本があるんですね。

「こんな本もあるんだなあ」と驚き、その母親に話しかけてみました。警戒することもなく、優しい表情で「そうなのよ。素晴らしいわよね」と答えてくれました。全ての本屋さんで見つかるわけではないが、大きな書店には置いてあることもあるのだそうです。確かに、探してみると、インドだけでなく、ブラジル、フランス、中国、など様々な国が舞台になった本も並べられています。

「娘はチェコで育っているから、インドのことをあまり知らないの。私たちは5年ほど前にチェコに来たのだけど、娘と一緒にインドに帰る機会はなかなか作れなくて。せめてこうした絵本や映画を通して、私たちの文化や生き方について知ってほしいと思ってるの。娘は、様々な人種や多様な文化が絵本にも描かれていることが当たり前だと感じていると思うわ」

その母親は、娘が小さい頃から、家のあらゆるところに絵本を置くようにしてたのだそうです。多様な人種や宗教の子どもがいる絵本を選ぶことで、世界のことや外国のことに興味を持つようになったのだと説明をしてくれました。

Naomi Iwazawa

絵本の棚を整理していた女性の店員さんにも、話を聞いてみました。

 ーーこちらの絵本の多くには様々な人種や文化が描かれていますが、本棚に並べるときに意識されているのですか?

「少し前までは、まだまだ白人が主人公の絵本ばかりだったけど、今は多様性を反映させることが当たり前になってきたわ。私たちの住む社会にはいろんな人がいるのに、白人のイラストの本しかないと、違和感を感じる人もいるの。それは移民への配慮だけじゃなくて、子どもたちの知識や冒険心、理解を深めるためにも重要じゃないかしら。私たち店員だけじゃなくて、絵本のイラストレーターも意識して多様な人種を描いているみたいよ。絵本には様々な性格や特徴を持ったキャラクターが出てくるでしょ。色んな絵本を子どもたちに読んでもらって、黒人だからこう、とか、アジア人はみんなこうだ、というステレオタイプがなくなってほしいと思うわ」

Naomi Iwazawa
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けれども、実際はまだまだ白人だけが出て来る本も多いことが問題なのだと、彼女は説明をしてくれました。例えば、子育てや赤ちゃんに関しての本があるこのコーナー。店員さんは絵本だけでなく、大人の読む本や雑誌も、もっと多様化する必要があると考えているみたいです。

どんな人種や文化にも優劣はなく、それぞれに特徴や魅力がたくさんあります。グローバル化しても、まだまだステレオタイプに基づいた視点やコミュニケーションは存在します。自分とは異なるものに対する抵抗や不安も、仕方のない部分もあるのかもしれません。それは、日本でも海外でも同様です。

グローバル化はさらに拡がり続け、日本にも多様な文化や人種の人が増えてくるでしょう。彼らをリスペクトし、世界の多様な「違い」への理解をすることができる人を育てるための第一歩が、絵本なのかもしれません。

本棚は、世界の縮図になり得るのです。小学校や家庭の本棚で多様性溢れる絵本が増えれば、子どもたちはきっと絵本を通して世界の文化や「違い」、外国語に興味を持つようになるのだと思います。ぜひ、本棚から世界の架け橋となる子どもを育てていきませんか。