真核細胞が、祖先である原核細胞からどのように生じたのかはいまだに謎だが、真核生物のルーツは原核生物の1群であるアーキアにあることが徐々に明らかになってきている。最近報告された、ロキアーキオータ(Lokiarchaeota)門やThorarchaeota門などのアーキア分類群には、真核生物に特異的と考えられていた多くのタンパク質をコードする遺伝子を持つ原核生物が含まれることも明らかになっている。
今回T Ettemaたちは、ロキアーキオータ門、Thorarchaeota門、Odinarchaeota門、Heimdallarchaeota門からなる新たなアーキア分類群を「Asgard」上門として定義し、真核生物のルーツの探索を行った。Asgard上門アーキアには、そのゲノムに真核生物で膜輸送装置を構成する複数のタンパク質のホモログをコードしているものがあったことから、真核生物の祖先となったアーキアにはすでに、真核細胞の特徴である細胞の複雑性を進化させる能力が十分備わっていたことが示唆される。
Nature541, 7637
2017年1月19日
原著論文:
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doi:10.1038/nature21031
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