パラントロプス属の猿人の歯のサイズ比。ヒト族では下顎の犬歯より後方の第一生歯のサイズにパターンが存在し、例えば1本の歯(白色)の位置とサイズが分かれば、他の4本の歯(緑色)のサイズが予測できる。 |
Credit: Alistair Evans, Matt Skinner, Kierstin Catlett and E. Susanne Daly
人類進化の特徴の1つに歯のサイズの全体的な縮小があることは、約80年前に認識されていた。これについては食餌の変化や調理技能の獲得など、さまざまな説明付けがなされてきたが、この傾向の根底にある発生的基盤は不明であった。
今回A Evansたちは、過去700万年にわたる化石ヒト族および大型類人猿の標本で歯のサイズを調べ、哺乳類の相対的な歯のサイズに影響を与える活性化因子-抑制因子機構である「抑制性カスケード」が、下顎の犬歯より後方の全ての第一生歯に関して歯のサイズの標準パターンを形成することを見いだした。
このモデルを用いることで、ヒト族の歯のサイズ比と絶対的サイズとの密接な関連性が明らかになった。これにより、犬歯より後方の第一生歯では、1本の歯の位置とサイズから同じ歯列にある残り4本の歯のサイズを予測することができる。
Nature530, 7591
2016年2月25日
原著論文:
doi:10.1038/nature16972
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