4~6世代前にネアンデルタール人の祖先がいたことが判明した、約4万年前の現生人類の下顎骨。
Credit: Svante Pääbo, Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology
ルーマニアのペシュテラ・ク・ワセ(「骨のある洞窟」の意味)で以前発見された、4万2000~3万7000年前の現生人類の骨について、今回そのDNAの解析結果が報告された。
この男性個体は、DNAの6~9%がネアンデルタール人由来であり、現在のユーラシアの人々で報告されている1~3%という比率よりも大きい。また、そのゲノムに含まれるネアンデルタール人由来のセグメントの大きさから、著者たちは、この男性の家系には4~6世代前の祖先にネアンデルタール人が1人いたと結論付けた。このことは、現生人類とネアンデルタール人の交雑がアフリカや近東に限定されず、ヨーロッパでも起こっていたことを示している。しかし、このワセ個体が属した集団は、その後のヨーロッパ人に対して遺伝的にさほど寄与しなかった。このことは、早期に移住してネアンデルタール人と交雑しながら、現代のヨーロッパ人には寄与しなかった初期現生人類がいたという証拠を示している。
Nature524, 7564
2015年8月13日
原著論文:
doi:10.1038/nature14558
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