頭の向きを変えるニューロン

一般的に脳がどのようにして一過的な入力を持続的な活動に積算するかを、神経科学的に理解する助けとなるだろう。

実験で使われたハエ追跡用の装置。

Credit: Mario Morgado for The Rockefeller University

空間ナビゲーションの一部は、「頭方向ニューロン」に依存することが知られている。これらのニューロンは複数の動物種で体内コンパスのような働きをするが、こうした細胞の持続的な活動を生み出し、それを随時更新する神経回路は分かっていない。今回G Maimonたちは、ショウジョウバエ(Drosophila)が頭の向きを変えるとき、いつどれくらい向きを変えるべきかの回頭信号を発する、2つのタイプの上流ニューロンを発見した。P-EN1は頭の向きを変え始めるときにアクセルペダルのように働き、P-EN2は向きを変え終えたときにブレーキのように働く。一方、左右のP-ENニューロンの非対称度は頭の向きを変える速さを示す。これらの知見は、例えばアリ、ハナバチ、齧歯類などといった他の動物種で提唱されている空間的積算の演算モデルへの情報をもたらすだけでなく、一般的に脳がどのようにして一過的な入力を持続的な活動に積算するかを、神経科学的に理解する助けとなるだろう。

Nature546, 7656

2017年6月1日

原著論文:

doi:10.1038/nature22343

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