理論的には、よく考えられがちな酸化還元反応だけでなく、多くの化学反応が、電場をかけることによって触媒される可能性があると示唆されている。
今回、これを示す実験的証拠が、ディールス・アルダー反応における炭素-炭素結合形成の単一分子研究から得られた。
電場が存在し、ジエノフィルからジエンへの電子の流れが有利になる方向を向いているときに、単一分子接合の形成頻度が5倍高くなることが、一連の走査型トンネル顕微鏡破断接合実験で観測された。電場によって化学反応を操作できることを実証した今回の実験は、新しい不均一触媒反応法の原理証明である。
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Nature531, 7592
2016年3月3日
原著論文:
doi:10.1038/nature16989
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