断層における摩擦すべりは地震時の破断を支配しており、室内実験による岩石の摩擦特性に関する研究に多くの努力が払われている。
今回、地球の地殻を調べるために行われた室内実験の結果についてこれまで用いられていたスケーリングでは、試料のサイズの影響が的確に考慮されていなかったことが示された。山下太(防災科学技術研究所)たちは、一般的に用いられているセンチメートルサイズの岩石試料ではなく、メートルサイズの岩石試料を用いて、メートルサイズの範囲ではより小さい試料より1桁小さい仕事率で摩擦が減少し始めることを明らかにした。
著者たちは、摩擦すべりによってガウジ物質がより多く生成される応力集中領域が存在し、こうした領域ではさらなる応力集中が生じると提案している。こうした不均一性は自然界では一般的なので、著者たちは、小さい岩石試料から見積もられる特性から予想されるよりも速く、自然断層の強度が失われる可能性があると結論している。
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Nature528, 7581
2015年12月10日
doi:10.1038/nature16138
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