エンタングルメントのスケールアップ

量子力学の基礎的検証、量子ネットワーク、精密測定のさらなる進歩への道を開く可能性がある。
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量子エンタングルメントと呼ばれる非古典的相関の生成、操作、検出は、量子光学、量子センシング、量子情報などの研究分野において十分に確立された作業である。

それにもかかわらず、エンタングルメントの観測や保存が困難になるスケールがある。

特に顕著なのは、当該のエンタングルした物体が巨視的になったり、エンタングルした物体を隔てる距離が大きくなったりする場合である。

今回2つの論文によって、非古典的相関を生成し研究できるスケールを実験的に拡張したことが報告されている。

S Gröblacherたちは、2つのチップの間に渡したナノ構造のシリコンの梁の形をした、20 cm離れた2つの光機械振動子をエンタングルさせており、また、M Sillanpääたちは、おのおのが約10個の原子からなる2つの大きな機械振動子を定常状態にして、エンタングルメントの寿命を長くすることで、それらのエンタングルメントを実現している。

今回のこうした結果は、量子力学の基礎的検証、量子ネットワーク、精密測定のさらなる進歩への道を開く可能性がある。

Nature556, 7702

原著論文:

:10.1038/s41586-018-0036-z

:10.1038/s41586-018-0038-x

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