HIV-1に対するこれまで知られていなかった抑制因子が、M PizzatoたちのグループとH Göttlingerのたちのグループによって明らかにされた。HIV-1がNefタンパク質を欠くと、宿主細胞の複数回膜貫通タンパク質であるSERINC3とSERINC5が組み立て中のウイルス粒子へと取り込まれ、HIV-1の感染を強く阻害する。Nefタンパク質は通常はHIV-1で発現されていて、SERINC3とSERINC5を細胞表面から減らすことでその働きに対抗し、これらがウイルス粒子へ取り込まれるのを防いでいる。このような知見は、SERINC5とそれよりは活性が弱いSERINC3が長らく探索されていた抗HIV-1活性を持つ因子であり、その作用がNefにより抑えられていることを明らかにしている。今回の結果によって、SERINC5が抗HIV-1治療の基盤になる可能性が浮上してきた。
Nature526, 7572
2015年10月8日
原著論文:
doi:10.1038/nature15399
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doi:10.1038/nature15400
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