生物学における能動的超弾性

上皮シートは新しいタイプの力学的挙動を示す

生体組織の表面を覆う上皮細胞のシートは、発生などの生理学的過程の際に変形して折りたたまれ、複雑な構造を作り出すことができる。X Trepatたちは今回、制御された形状とサイズを持つ上皮性の「ドーム」のアレイを作製することで、このシートの力学的特性を三次元的に調べた。彼らは、一定の張力がかかった状態で、シート内の個々の細胞は、ほとんど変形しない状態から1000%の面積ひずみに達するまで、さまざまな程度に可逆的に伸張できることを報告している。分子レベルでは、細胞の不安定性は、伸張によるアクチン皮質の薄化によって引き起こされ、中間径フィラメントネットワークにより救済される。彼らは、上皮シートは新しいタイプの力学的挙動を示すと結論し、これを能動的超弾性と名付けた。超弾性は一般に合金に見られる微視的な材料不安定性に起因する力学的応答であるため、今回の結果は興味深い。

Nature563, 7730

原著論文:

doi: 10.1038/s41586-018-0671-4

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