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2018年06月26日 10時56分 JST | 更新 2018年06月26日 11時15分 JST

見た目のケアと恋愛・結婚に関する一考察~未婚化社会データ考察:乾癬(2):基礎研レター

見た目・ルックスは結婚希望に影響するのだろうか

Happy bride and groom walking on virgin load
Satoshi-K via Getty Images
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1――見た目・ルックスは結婚希望に影響するのだろうか

1|既婚者の独身時代のルックス自信と未婚者のルックス自信比較

2015年の国立社会保障・人口問題研究所の18歳から34歳の独身男女への大規模調査によれば、結婚希望がある男女はそれぞれ約9割にのぼっている。未婚化が進む中、未婚者の希望の障壁となるものについて、可能な限り検討しておきたいところである。

本稿では、恋愛・結婚において「見た目・ルックス」についてデータを用いて検討してみたい。

恋愛・結婚において見た目が影響しそうだ、と思う人は少なからずいるだろう。

しかし、「見た目・ルックス」は非常に主観的な好みの問題が加味される。そのため、一律の基準でランク付けをして結婚の有無を論じるためには、かなりハードルの高い調査が必要となる(*1)。

「好みの問題」とは、例えば男性については、筋肉質な見た目の男性を好む女性もいれば、そうではない女性もいる。女性については、儚げなルックスを好む男性もいれば、そうではない男性もいるだろう。

このように「好みの問題」がある見た目に関して、そもそも「それが結婚の障壁となるのか」について、非常に興味深いデータがある。以下で確認してみたい。

下表は民間研究所が、日本における平均的な初婚年齢を丁度真ん中に挟む年齢ゾーンの25歳から34歳の「アラサー」男女に対して2017年に行ったアンケートの結果の一部である。

未婚者に関しては「アンケート回答日」の、既婚者に関しては「自分が独身だったころ」の自分の見た目への自信の有無について回答を求めている。

結果からは、同じ独身時代で比べると既婚男女の方が未婚男女よりもルックス・見た目に自信をもっていることが見てとれる(図表1)。

男性については、既婚者の約3人に1人が独身時代に見た目に自信があったとしている一方で、未婚者は自分の見た目に自信がある者が5人に1人以下となっている。

女性についても、やはり既婚者は約3人に1人が見た目に自信があったとしている一方で、未婚者は見た目に自信がある者は約4人に1人となっている。

明らかに、既婚者の独身時代における自分の見た目・ルックスに自信を持っている割合の方が未婚者のその割合よりも男女とも高い。このことから、(それが客観的な評価をともなうかどうかは不明であるものの)自分の見た目への自信が未婚者と既婚者の間を隔てている1要素である様子がうかがえる。

特に男性の方が女性よりも見た目・ルックスへの自信の差が、既婚者と未婚者で大きく開いていることは大変興味深い。

男性が女性にアプローチする際の自信の拠り所の1つとして、見た目・ルックスがある可能性が示されており、「見た目自信向上支援」は結婚支援において効果があるのではないかと言えなくもない。

少なくとも、女性に「見た目自信向上支援」を行う場合よりも結婚支援として効果があるかもしれないことが示唆されている(*2)。


(*1) 印象分析という手法もあるが、可能な限り一般的な印象順位付けを行うためには人員と手間が非常にかかる。
(*2) 実際結婚支援の現場からは、髪型・服装も含めた身だしなみといった見た目についての改善が必要かつ改善によって支援効果がありそうな男性が多い、という指摘もよく聞く話の一つである。

2|養護教諭による 「皮膚疾患=若い男女の恋愛阻害要因」 の指摘

一口に見た目・ルックスといっても、具体的に挙げるとなるとかなりの広がりがある。

結婚支援の現場からよくでてくる見た目に関する指摘としては、髪型・服装・服装や髪型のTPO(似合わないとは言わないが、イベントにジャージや作業着で来場してしまうなど)である。

その他に、生まれ持ったスタイルや顔立ち・表情・化粧・皮膚や肌の状態などもあるだろう。

最近では、男女が出会うイベント前に身だしなみに関するセミナーが行われるケースも珍しくはない。

しかし、生まれ持ったものに関してはどうしようもない、という議論もある。

とはいうものの、その一方で、小学校・中学校・高校における不登校児童を専門にケアする養護教諭に対して当研究所が実施したアンケートからは、以下のような興味深い結果が得られている。

学びリンク株式会社の協力で当研究所がおこなった「養護教諭定期交流会」におけるアンケート結果を以下に示してみたい(図表2)。

上表は、2018年4月に行われた「養護教諭定期交流会」に参加した関東圏の学校(小学校1校・中学校3校・高校1校・非公開1校)のひきこもり児童などの不登校児童支援を行う養護教諭6名に対して行った、当研究所によるアンケートの結果の一部である。

6名の養護教諭のうち5名が皮膚の疾患やトラブルが若い男女の恋愛を阻害していると思う、と回答した。

また、交流会に参加した養護教諭全員が「皮膚の疾患(トラブル)をもつ患者を支援する情報提供があれば今後受けたいか」とする質問に「そう思う」と回答した。

皮膚疾患・トラブルが直接的に不登校につながるかどうかはさておき、10代の恋愛に少なからず影を落している可能性を示す結果といえるだろう。

先天的要素ももちあわせる皮膚疾患ではあるが、すべてが「生まれ持ったものに関してはどうしようもない」という疾患であるわけではない。

皮膚疾患・トラブルが恋愛阻害要因の1つであるのであれば、それへのケアが結婚支援におけるアプローチの1つになりうると見ることができるだろう。

2――皮膚疾患・トラブルへのケア、という支援アプローチ

1|代表的な皮膚疾患は「アトピー性皮膚炎」「乾癬」

患者数の多い身近な皮膚疾患としては、アトピー性皮膚炎や乾癬があげられる。

このうちアトピー性皮膚炎に関しては一般の知名度が高く、患者数も多い。

アトピー性皮膚炎治療研究会の世話人を務める幸野健・日本医科大千葉北総病院教授の2017年の講演によれば、患者数の多い皮膚疾患の第2位であり、患者数は約45万6千人にのぼるとされるメジャーな皮膚疾患である(*3)。

幸野教授によれば、アトピーというと子どもの疾患のイメージが先行しがちであるものの、20歳以上の成人患者が6割以上と圧倒的に多い疾患である。

乾癬は、欧米では知名度が高いものの日本では知名度が低く、同音異議語の類推やその見た目から感染症と間違われることが多発しているとされる免疫介在性の慢性疾患である(*4)。

患者数は当研究所の推計では約31万人にのぼり、アトピー性皮膚炎と比べても十分な母数といえる患者数である。


(*3) 時事メディカル2017年8月15日「生活の質低下、成人アトピー=意識調査が示す患者の不満」参照。皮膚疾患第1位は、「アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎以外の皮膚炎および湿疹」52万1千人。
(*4) 詳しくは、村松 容子2018年5月28日"乾癬(かんせん)の受診実態~疾病の理解のために・乾癬(1) ", ㈱ニッセイ基礎研究所「基礎研レター」参照。

2|乾癬の特有の問題は「知名度の低さ」

恋愛・結婚の阻害要因の1つとみられる見た目・ルックスに影響を及ぼし、かつ患者数の多い皮膚疾患の中でも「乾癬」には独特な問題がある、と患者支援団体である一般社団法人INSPIRE JAPAN WPD(乾癬啓発普及協会)(*5)は指摘する。

乾癬は、アトピー性皮膚炎と同様に接触や空気感染する疾患ではない。

にもかかわらず感染症と間違われ、治療費負担問題等から十分な治療が行われていない場合、その見た目から感染を恐れられ、周囲から過剰に忌避される患者も少なからず存在するという。この問題は知名度の高いアトピー性皮膚炎患者に関しては生じていない。

同団体が2017年10月の国内初・乾癬患者による乾癬啓蒙東京タワーイベントで行った歩行者アンケートでは、実に回答者の55%が「乾癬という病気を知らない」と回答した。

また、2018年5月の札幌市における231名アンケートでも、非患者における認知率は39%で、61%が乾癬という疾患を知らないという状況であった(図表3)。

アトピー性皮膚炎と比べると、その知名度においてかなり落差がある疾患であると指摘することが出来るだろう。

支援団体からの意見を含めて勘案するに、乾癬はまずその知名度を向上するだけでも無知による患者への忌避行動を防止することができ、日本においては大きな恋愛・結婚支援効果があるように思われる。


(*5) http://www.inspirejapan-wpd.net/ 参照
本稿の執筆に際し多くの情報提供を頂いた同団体は、任意団体から2018年に一般社団法人となった。2017年には世界乾癬デーにあわせて国内初の乾癬患者による世界乾癬デー・東京タワーイベントを実施し、多くの参加者を集めた。

3――見た目・ルックスに対する「周囲の意識の改革」ケア

結婚希望者の割合はあまり変わらないものの未婚化が進行する中で、様々な結婚支援が行われている。

本稿では見た目・ルックスに関しての自信の差が既婚者の独身時代と未婚者の間に明確にあること、また、皮膚疾患が恋愛阻害要因の1つであることを指摘した。

見た目・ルックスへの自信向上というと、ついつい「洋服を買って、美容院へ行って・・・」と経済的負担の大きなことを考えてしまいがちである。

しかし、ある皮膚疾患が「感染症ではない」という疾病への理解を進め、周囲がナチュラルに患者の疾患を受け止めるなど、周囲が変わることで本人の自信が向上するケースも十分ある。

またデータからは、実は男性の方が見た目への自信の有無の格差が既婚者と未婚者との間にあることが見えてきた(*6)。

この結果から、周囲が「男は黙って仕事をしていればモテる」「男は見た目より出世」といった「恋愛価値観の押し付け」を行うことやめ、見た目の悩みへの理解を図っていくことも、男性の未婚化解消の1つの道筋となりうるだろう。

「恋愛・結婚の希望を叶えるのは個人の力量問題」として片付けてしまうのではなく、その周囲の人々の知識不足・価値観が少なからず「恋愛阻害要因」となっているかもしれない、ということを本分析結果は示しているといえるのではないだろうか。


(*6) 本当に客観的に見た目格差があるのか、自信の多寡の問題なのかは不明である。

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(2018年6月18日「基礎研レター」より転載)
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