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2017年12月14日 13時36分 JST | 更新 2017年12月14日 13時36分 JST

円周率πが現われる世界(4)-3月14日は円周率(π)の日:研究員の眼

世界的にも認められている。

sovika via Getty Images

はじめに

3月14日は何の日か、と聞かれたら、多くの人は「ホワイトデー」(*1)だと答えるだろう。間違っても「円周率(π)の日」だなどと答えようものなら、冷たい視線を浴びることになるかもしれない。

ところが、3月14日は、れっきとした世界的にも認められた「円周率(π)の日」ということになっている。

今回は、この「円周率(π)の日」について紹介する。

3月14日は、世界の多くの国で「円周率(π)の日(Pi Day)」

世界の多くの国で、円周率πは3.14と表記されることから、3月14日は「円周率(π)の日」とされている。π=3.14159......であることから、この日の1時59分か15時9分にお祝いが行われ、パイを食べたり、πについて議論したり、映画「π」(*2)を鑑賞したりして、祝うとされている。

米国の下院では、2009年3月に、3月14日を「円周率の日(Pi Day)」とし、学校でこの日を利用して、生徒に円周率について教え、「数学を学ぶ魅力を伝える」よう呼びかける決議案("Supporting the designation of Pi Day, and for other purposes.")が承認されている。その制定の趣旨は、以下の通りと規定されている

・世界中の円周率の日の指定及びそのお祝いをサポートする。

・国立科学財団の数学と科学教育プログラムの継続的な重要性を認識する。

・学校や教育者が、生徒にπについて教え、彼らが数学の研究について従事する適切な活動を観測することを奨励する。

2015年は「円周率(π)の日」にとって特別な年であった。なぜなら、米国式の表示では3/14/15(月日年)等々となるため、この日の9時26分53秒はπの最初の10桁を表していた。

米国のMIT(マサチューセッツ工科大学)は、2012年から、その入学決定通知をオンラインで3月14日(Pi Day)のτ(タウ)(*3)時刻(Tau Time)(東部標準時間)(March 14, at 6:28pm EDT)に公表している。なお、τ(タウ)時刻としているのは、ライバル数であるπとτを平等に称えるためであるとしている。 

なお、3月14日は、アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)の誕生日でもある。アインシュタインは米国のニュージャージー州プリンストンに20年以上住んでいたので、この日には、通常の円周率の日に関係するイベントに加えて、アインシュタインそっくりさんコンテスト(look-alike contest)等も行われるとのことである。

日本における3月14日は

日本においては、日本数学検定協会が、3月14日を、円周率(π)の近似値3.14に因んで、1999年に「数学の日」と定めている(*4)。数学を生涯学習として、子どもから大人まで楽しめるものに発展させようと制定したものとしている。日本数学検定協会はこの日に照準を合わせた各種イベント等も開催している。

また、同じく円周率(π)の近似値3.14であることと、バレンタインデーのお返しの日としてのホワイトデーに、生地を何度も折り返し、層を重ねて作るパイは贈り物にふさわしい、との理由から、料理やお菓子の「パイの日」ともなっている。

なお、米国でも3月14日は「パイの日(Pie Day)」となっている。念のため申し添えておくが、π(Pi)とパイ(Pie)は英語でも同音異義語となっている。

さらに、日本においては、ホワイトデーに関係して「キャンディーの日」や「マシュマロデー」に、ホワイトから化粧品会社は「美白の日」に制定している。

加えて、1873年3月14日に政府が国際結婚を初めて公式に認めるとの布告を行ったことから「国際結婚の日」にもなっている。

ただし、先に述べたように、世界的にはむしろ「円周率(π)の日」というのが、より幅広く認識されており、適切だといえるかもしれない。

円周率(π)近似値の日(Pi Approximation Day

世界的に3月14日は円周率πの日であると述べたが、世界では、その他に「円周率の日」または「円周率近似値の日」と呼ばれる日が存在している。

7月22日は、欧州式の表示では22/7 となるが、/を割り算記号と見直すと、この値は3.14 ...となることから、この日が「円周率の日」となる。世界で最初に円周率を計算したといわれているギリシャ出身の数学者アルキメデス(Archimedes)が、これを用いて計算したとされている。

中国では、12月21日が「円周率の日」となっている。この日は新年から数えて355日目になっているが、中国の南北朝時代の数学者である祖 冲之(そ ちゅうし)がπの値を 3.1415926 と 3.1415927 の間であるとして、その率を 355/113 (=3.141592 ...)と定めたことに由来している。因みに、分母にあたる1時13分にお祝いが行われるとのことである。

このように、現在一般的に知られている「円周率(近似値)の日」は、少なくとも3日存在しているが、面白いことに年末に近づくにつれて、より正確な値に近くなっている。

なお、これら以外にも、元日から314日目の11月10日や、地球が軌道上で新年から軌道の直径分進む日(すなわち、前回の研究員の眼で述べたように、πラジアンの角度に相当するだけ進む日)である4月26日を「円周率(近似値)の日」と呼んでいる国もあるようだ。

最後に

ここまで述べてきたように、3月14日は、れっきとした世界的にも認められた「円周率(π)の日」なのである。

外国人と話をしている時に、「3月14日は何の日か」と聞かれたら、「円周率(π)の日」だと答えれば、決して冷たい視線を浴びることなく、あなたは物事をよく知っている人(?)だと認識されるかもしれない。

経済的には、3月14日が「ホワイトデー」として認識されて、消費の活性化に一役買う方が、目に見える形で社会に貢献しているのかもしれない。

ただし、知的好奇心を醸成し、将来的な人財育成につながるという意味においては、「円周率(π)の日」や「数学の日」として幅広く認識してもらうことも大事なことだと思われるがいかがだろうか。


(*1) 日本においては、3月14日はホワイトデーとして知られているが、ホワイトデーの習慣は日本で生まれたもので、中国・台湾・韓国など東アジアの一部でも定着しているが、欧米ではこういった習慣は見られない、というのは有名な話である。
(*2) 1998年に米国で製作された映画で、ダーレン・アロノフスキー監督による。1998年サンダンス映画祭最優秀監督賞や1999年インディペンデント・スピリット賞脚本賞を受賞した。常人離れした知能指数を持ち、世界を解明する究極の数字に取り憑かれた天才数学者マックス・コーエンを描いた異色のSFサスペンスである。男は自作のスーパーコンピュータを使ってカオス理論に基づいた株式市場予想の研究をしていたが、πの216桁の数字が持つ不可思議な魔力に取り付かれていくことになる。
(*3) τ(タウ)は、一部の研究者によって、円周率πに代わるべき定数として提唱されている数であり、円の半径に対する円周の比として定義されるもので、その値は2πに等しい。
(*4) 日本数学検定協会は、数学の日を決めるにあたり、全国の算数・数学のファン等にアンケートを実施した。最も多かったのが3月14日で42.9%、次が掛け算の九九から9月9日で30.1%、さらに1が並ぶということから、11月1日が8.3%、1月11日が7.2%だった。こうした結果も踏まえて、3月14日が「数学の日」に定められた、とのことである。

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(2017年11月20日「研究員の眼」より転載)
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