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2016年03月22日 00時37分 JST | 更新 2017年03月22日 18時12分 JST

【人口減少社会・国内市場の縮小】現状を変えるヒントは「消費者の心を掴む商品価値」にあり!:研究員の眼

先月末に公表された2015年国勢調査の速報集計では、わが国の人口は1億2,711万人となっており、前回(2010年)に比べ95万人ほどの減少と、人口減少社会に突入したことが確認された。

都市部への人口集中が続いていることもあり、まだ人口増加が続いている地域や、5~10年前の時点で既に人口減少が始まっている地域など、地域ごとの状況には差異はあるものの、2005~2010年には7県となっていた人口が3%以上減少している地域が2010~2015年には14県に拡大するなど、多くの道府県で人口減少の速度は早まっている。

今後様々な業界において、人口減少による国内市場の縮小の影響が現れるであろうことは想像に難くない〔図表1〕。

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一方で、家計の消費支出の状況をみると、このようなマクロでのトレンドとは異なる状況も垣間見える。

通信費はその典型例ではあるが、携帯電話の普及に伴って家計の移動電話通信料は増加傾向が続く反面、固定電話通信料は減少を続けた結果、2014年には70代以上の世帯においても、移動電話通信料が固定電話通信料を上回っている(*1)。

このように、元々広く使われてきたモノを代替する商品が普及することにより、支出が逆転する例にはほかに、眼鏡とコンタクトレンズがある。

実際に、家計の年間コンタクトレンズ支出は、2000年ごろの2,000円程度から2015年には約3,400円に増加している一方で、眼鏡支出は約9,800円から約5,900円へと減少している〔図表2〕。

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世代別にみると、30代では2007年に、40代でも2012年に、それぞれコンタクトレンズと眼鏡の支出が逆転しており、50代でも費目間の差が僅差となるなど、若い世代を中心に、視力矯正の手段が眼鏡からコンタクトレンズへと移り変わっていく様がみてとれる(*2)。

また、眼鏡に比べ歴史は浅いものの、コンタクトレンズはその素材や機能における開発が進む一方で、カラーコンタクトレンズ(カラコン)のように、視力矯正を目的としないファッションとしての商品も市場の拡大に寄与している。

では、避け得ぬ人口減少に加え、このように代替品に市場を奪われる状況が続く業界には、対抗する術はないのだろうか。

前述のとおり眼鏡市場は、全体としては縮小し続けているように見受けられるものの、PCのブルーライトカット眼鏡など「視力矯正」とは異なる機能を打ち出すことで機能性眼鏡市場という市場を切り拓いた会社や、眼鏡フレームのファッション性と低価格を訴求することで支持を獲得している会社など、眼鏡市場全体の縮小傾向に反して成長を続ける会社も見受けられる。

これらの例が示すように、眼鏡やコンタクトレンズは、ファッション性やブルーライトカットという、視力矯正とは異なる機能を付与することにより、市場の裾野が拡がり、その中で消費者の支持を得た企業が成長を実現している。

このことは、既存の、ともすれば縮小傾向にあるような市場においても成長を実現する鍵は、既存の用途といった枠を超えて商品に新たな意味を付与することで消費者の心をつかみ、支持を得られるような市場をカタチづくることができるかどうかにあることを示している。発想の転換を促す柔軟な思考が求められているといえよう。

(*1) 移動電話通信料は年代を問わずほぼ一貫して増加傾向が続いており30~50代では2002年、60代でも2006年に移動電話通信料が固定電話通信料を上回っている。

(*2) コンタクトレンズ支出増加の背景には、使い捨てタイプなど使用期間が短い商品の普及拡大もあるものと思われる。

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(2016年3月18日「研究員の眼」より転載)

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株式会社ニッセイ基礎研究所

生活研究部 准主任研究員

井上 智紀