結論から伝えられたときには、いきなり「なんで?」と聞かない方がスムーズかもしれない

コミュニケーション上、あまりうまくない手段だと思っています。
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こんな記事が話題になっていました。

要するに、「ロジックを聞きたいだけ」で「なんで?」とか「そうなる理由は?」と聞いたのに、誤りを指摘されたと勝手に思い込まれてしまうと困る、という話です。

賛否両論ありますが、私は、いきなり「なんで?」とか「そうなる理由は?」と聞くのは、コミュニケーション上、あまりうまくない手段だと思っています。

相手を暗に責める意図なしに、「なんで?」「そうなる理由は?」と聞く必要が出てくる状況としては、

(1)相手が何らかの事実や結論をこちらに伝えてくれた

(2)その事実や結論に至るロジックをこちらは共有できていないから、ロジックを確認したい

の2つを前提とする必要がありそうです。

(1)相手が何らかの事実や結論をこちらに伝えてくれた

は、いいですよね。

「まず結論から伝える」というコミュニケーションの基礎に忠実なのもよいですね。

こちらから聞いたことに答えてくれたにせよ、相手から自発的に伝えに来てくれたにせよ、相手が一番伝えたい(伝えるべきだ)と思った結論を、まず伝えてくれたわけです。

ここで、「なるほど、そうなんだね」(「おもしろいね/いいかもしれないね」)と、いったん、その結論を受け止めてあげると、その後のコミュニケーションがスムーズに行くことが多いように思います。

相手の立場にしてみれば、一番伝えたい(伝えるべきだ)と思ったことを伝えたのに、そのことに対する直接的な反応が返ってこなければ、不安にもなるでしょう。

子供の勉強を見ていたりして、「どう考えた?」と聞くことはよくあります。

そのとき「こう考えた」と伝えてくれる子供は、その考えが、こちらにどう受け止められるかが一番気になっているはずです。

それを飛ばして、いきなり「なんで?」と返されると、まず間違いなく、子供は不安になって固まり、それ以降、こちらの話は耳に入っていきません。

「なるほど、そう考えたんだね」とか「おもしろいね」「それは思いつかなかったよ」とか、いったん受け止めておいてから、「ところでなんでそう考えたの?」と続けると、理由をスムーズに教えてくれたります。

相手が大人だったとしても、これはわりと同じです。

(2)その事実や結論に至るロジックをこちらは共有できていないから、ロジックを確認したい

とは言っても、こちらだって早くロジックを確認したいんだ、というときはあるでしょう。

でも、そういうときほど、理由の聞き方には注意が必要だと思います。

伝えられた事実や結論に至るロジックをこちらは共有できていない、ということは、その事実や結論が、こちらの予想していたものとは違っていた(あるいは、予想もしていなかった)という状況が多いはずです。

そういうときの「なんで?」とか「そうなる理由は?」は、どうやら思っている以上に強く、こちらの違和感を押しつけている感じに、相手には聞こえるみたいです。

さほど多くない私の経験では、「へ~、なんでなんで?」と、興味を持ってる姿勢を全面に出してみるとか、「どうしてそうなったんだろうね」と、一緒に考える姿勢を見せてみるとかすると、あまりこちらの違和感を押しつけている感じには受け取られないですむことが多いです。

そんなの面倒だし、感情を排してロジックだけで話を進めたい、というのは、それが通じる相手とだけにしておいて、「いつも相手に警戒されてしまう......」という場合は、こちらがコミュニケーションのやり方を変えてみるのが早いのではないでしょうか。

(2018年3月16日「科学と生活のイーハトーヴ」より転載)

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