違う文化で育ってきた人同士が出会うと何かとぶつかることはありますが、「天天厨房」のように新しい可能性を生むことがよくあります。
khoa vu via Getty Images

先日、「鶴瓶の家族に乾杯」という番組を観ていたら、青森のロケで、青森の一般のおじいさんが鶴瓶に向かって何度も「わしは静岡より西の人間は信じない」って言ってたんです。

「うわー、やっぱりこういう人っているんだなあ」とか色々思ったのですが、要するにそのおじいさん、西日本人と親しく話したことがないし、西日本人の友人がいないだけなんだと思うんです。

僕はいろんな地方の人やいろんな国の人と接しているのですが、当然ですが良い人もいるし、面倒くさい人もいるし、そういう割合ってどこも同じです。どこかの特定の地域の人だけは「信用できない」っていうのはまずありえません。

でもおじいさんは残念ながら静岡より西の人とはあまり話したことがなく、テレビなんかのメディアや噂だけしか知らないんでしょうね。

                   ※

今、NHKの朝の連続テレビドラマは「マッサン」というスコットランド人女性と結婚した日本人男性の「日本で初めてウイスキーを作る物語」なんですね。

このドラマ、いつまで経っても主人公がウイスキーを作らないので、「もう観るのやめようかな」って思うのですが、最後に「私たち国際結婚です」っていう「一般の日本人と外国人のカップルの写真」が映し出されるから、それだけを目当てに観てしまうんです。

そのほんの1、2秒の間、放映される幸せそうな二人の写真を観ると朝からかなり良い気持ちになれるからです。

ところで東京の国際結婚の割合って11組に1組らしいですね。そう言われてみれば僕の周りも国際結婚はその割合以上に存在します。

僕は東京以外の日本ももっともっと国際結婚が増えて、どんな人にでも必ず友人や親戚に外国人がいる状態になれば良いのにといつもいつも思います。もう少し「色んな人がいる」という状況にみんなが慣れるとすごしやすくなりますよね。

                     ※

先日、千歳烏山の「天天厨房」という台湾料理のお店に行ってきました。

妻がその前に友人と行って「ここ数年の間で一番美味しかった」というので、これは行かなきゃと思い、妻は2度目で、僕は初めて行ったというわけです。

妻は前回は白ワインを頼んだそうなのですが、ネットを見ると「料理に合わせて日本酒を選んでもらうと良い」と書いてあったので、そのままお店の方に「料理に合わせてお酒を選んでいただけますか」と注文しました。

ちなみにそこは紹興酒もたくさんあるので、「僕は紹興酒」を、「妻には日本酒」を、料理一皿にあわせて一杯づつお願いしました。

そして料理と合わせはじめて「あ、僕も日本酒にしておけば良かった」とすぐに後悔しました。

紹興酒の方は当然、中華料理繋がりで台湾料理にぴったりと合うのですが、まあ「普通」というか別に「驚き」はないんです。

でも日本酒の方は「この日本酒のコクと台湾野菜のエグミがすごくあう」とか「シャープな切れ味の日本酒と、パクチーがふんだんに入った辛い料理とすごくあう」といった「驚き」だらけなんです。

ちなみにカウンターの中で料理を担当している方は謝天傑さんという台湾の方で、サービスをしている女性は日本人の奥様です。はい。国際結婚です。

日本酒って今、売り上げが良くなくて生産者の方たちは困っていると思います。それで、「日本酒をもっと気軽に」あるいは「女性にも受け入れられるようにお洒落に」というキャンペーンはしていると思います。

でも、まさか「台湾料理に日本酒が合う」なんて誰も気がつかなかったと思います。

考えてみたら日本酒は「米と麹」で出来ているわけだから、台湾料理にあう可能性はすごくあるはずなんですよね。

もちろん謝さんの「味への探求心」が「台湾料理と日本酒のマリアージュ」という可能性に気がつかせたわけですが、やっぱり「国際結婚」と関係があるような気がしませんか?

                      ※

違う文化で育ってきた人同士が出会うと何かとぶつかることはありますが、「天天厨房」のように新しい可能性を生むことがよくあります。

もしかして日本酒は韓国料理に合うかもしれませんし、タイ料理にも合うかもしれません。千歳烏山の小さなお店の「国際結婚」が日本酒の新しい可能性を広げるかもしれません。

「天天厨房」で是非、あなたの舌で「味の国際結婚」を試してみて下さい。 http://www.tentenchubo.com/

注目記事