これは議会軽視では?突然の「特別顧問廃止」で、予算審議プロセスに歪みが発生。

特別顧問たちにかかる予算(報酬や旅費等)が、平成30年度予算(4月以降の予算)にばっちりと計上されている。

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

予算特別委員会質疑の解説、3日目の今日は「特別顧問廃止」についてです。

先の本会議で、小池知事がこれまで改革を牽引してきた「特別顧問制度」の見直しに言及し、トントン拍子で3月末の廃止を宣言されたことについては以前に触れました。

過去記事:

「特別顧問」だけが問題だったのか?本丸は意思決定プロセスと情報公開だ

私はこの見直し自体に反対する立場ですが、この「また思いつき」とも批判されている突然の決断を知事が行ったことで、現在審議が行なわれている予算案に見過ごせない歪みが生じています。

というのも、平成30年3月末を持っていなくなる特別顧問たちにかかる予算(報酬や旅費等)が、平成30年度予算(4月以降の予算)にばっちりと計上されているからです。

総務局の予算案「都政改革事務」に5,500万円。このうち3,600万円ほどが特別顧問にかかる金額です。

これ、明らかにおかしいですよね。

4月以降の予算案を議決してくださいと知事から依頼されて現在、都議会では予算案の審議が行なわれています。

にもかかわらず、その最中に知事が一方的に予算用途を変更して、しかも修正しないでそのまま議決してくれと言っているわけです。

一般論で言えば、すでに使わないことがわかっている金額が計上されている予算案を、議会がそのまま見過ごして承認することはできないでしょう。

では知事査定を終えて議会に提出が終わった予算案が、途中で変更されることはありえるのか?

もちろん、知事査定終了から議決まで2ヶ月弱に及ぶ審議を行っていますから、その間に予算案が変更されることは皆無ではありません。

しかしそれは、国庫補助金の金額が変動するとか、議会側が「議員報酬削減」を議決して議員報酬分の予算が減ったとか、いわゆる「不測の外的要因」が発生して予算案に影響が出るケースです。

今回のように、知事が議会の予算審議プロセスの最中に「自分で出した予算案の中身を、勝手に自分で変えてしまった(しかも修正しない)」というのは、極めて異例ということができると思います。

これはあまりにも、議決機関である議会を軽視した姿勢ではないでしょうか。

この修正が行なわれなければ、軽々に予算案に賛成することはできない。今からでも予算案を撤回・修正して再提出するべきだという私から指摘に対して知事は、

考えに相違がありますので、同意できません

と答弁でバッサリ(苦笑)。

残念ながら、この歪な予算案のまま議決日を迎えることになりそうです。

また、特別顧問が3月末いっぱいで解任となることについては、予算質疑初日の知事答弁で

3月1日 知事が見直しに言及、事務方に指示

3月8日 副知事と総務局長から廃止案が提示され、知事了承

3月9日 知事が記者会見で廃止を発表

というプロセスであったことを明らかにしています。

「特別顧問に、総務局長から3月いっぱいでの退任を伝えたタイミングはいつか?」

という私の質問に対して、総務局長が「記者会見と同時」と答えるなど、本人たちにとってあまりにも突然&非礼なタイミングだったのではないかとの懸念も拭えません。

なお、小池知事にも同様の質問をしたところ、

「記者会見のかなり前」

と答弁しておりますが、前述のように知事が廃止を了承したのが前日8日ですから、一般常識からすればこちらも「突然」であったことは否めません。

また、上記の議論における「特別顧問」とは、筆頭であった上山顧問を指すわけですけども、他に11名いる特別顧問や参与たちには知事から直接連絡することがなく、さらには業務引き継ぎなども一切予定されていないことも明らかになりました。

民間企業でも、1ヶ月なり相応の期間、引き継ぎの猶予を設けるのが一般的です。

こうした措置が取られていない点からも、今回の特別顧問廃止は突然の思いつきであるか、あるいは「予算案賛成と引き換えの政治的取引」等、何らかの政治的事情が働いていたのではないかとの指摘もあります。

以上のようなプロセスに疑義がある点も踏まえて、私はやはりこの特別顧問廃止には納得ができません。

公営企業委員会での質疑でも感じたように、議会側に「改革スピリット」を受け継ぐ勢力が見当たらない今、このままでは本当に「都政改革」の火が途絶えてしまう恐れがあります。

改革の灯火が消えていく流れを止めることは困難かもしれませんが、今回の予算審議の結果が如何であれ、私は引き続き都政改革継続の主張を続けていきます。

皆さまは、どのように感じましたでしょうか。ぜひとも質疑動画もご覧いただければ幸いです。

それでは、また明日。

(2018年3月18日おときた駿ブログより転載)

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