こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日は総務委員会の事務事業質疑が行われまして、私は合計80分の質問を致しました。喉カラカラ。
本日はその中でもっとも力を入れた、留学生受け入れ事業における東京都のトンデモ対応について書きたいと思います。
※正確には、事業を行った外郭団体の「首都大学東京」
東京都は過去6年間、数十億円の事業費を使ってアジア各国から留学生を高待遇で受け入れており、今後も同様の事業を継続していくことは以前の記事でご紹介いたしました。
外国人留学生の受け入れに9年間で80億円使うけど、妥当性と費用対効果は??
※金額のすべてが留学生の受け入れに使われたわけではありません
※とはいえ、使用用途の中心は留学生受け入れ費用
この事業を利用した留学生たちがその後、お金の出処である東京都にどのような貢献をしているのかが今ひとつ見えてこず、外国人留学生に対するバラマキではないかと、引き続き調査を進めていたのですね。
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すると、調査過程で恐ろしい事実が判明しました。
アジア人材育成基金として6年間の事業が終了し、その卒業生たちのフォローが十分にできていないことに対して、事業を担う首都大学東京(東京都外郭団体)も危機感は持っていたようです。
そこで本年8月末、卒業して帰国した留学生たちを一同に介して、同窓会を行う事業が計画されました。
なぜかバンコクで。
...いやいやいや、首都大学東京の同窓会ですよ?!
当然、懐かしい学び舎がある、東京で開催するのが普通ですよね?
参加した留学生は対象48名中の20名。
主に東南アジア各国に散らばっていた彼らの旅費(航空券代)は、東京都が支出する事業費から支払われていました。つまり、我々の税金です。
しかも、タイ出身の卒業生で日本に住んでいた方が一人おりまして、わざわざ東京からバンコクに里帰りさせるチケットまで取って上げたことになります。
東京までの「お足代」ならまだしも、留学生の大半に縁もゆかりもないバンコクへの旅費を公費から支出するというのは、果たして妥当なんでしょうか。
さらに当然、東京からの出張者も多数いるわけです。東京からバンコクに出張した首都大関係者はなんと15名で、留学生が20名ですから、半分が東京から出張した日本人ということになります。
彼らの航空券代・滞在費・日当はすべて公費から支払われまして、同窓会事業費のなんと半分がここに充てられています。
これ、東京でやればゼロにできましたよね??
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話はこれに留まりません。
同窓会の開催は本年8月30日で、この10日ほど前には、バンコク市内で大規模な爆破テロ事件が発生しています。
記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
これにより多くの市内イベントが中止になっておりまして、実際に参加予定だった留学生たちもなんと6名、事件を理由にキャンセルしています。
にも関わらず、同窓会を強行開催を決断する東京都(首都大学東京)。
すでにこの時点で危機意識の欠如が感じられますが、「留学生や関係者には、不要不急の外出は控えるように通達した」そうです(答弁で言質取得)。
ここ、大事なポイントなので留意しておいてください。
で、この出張はバンコク市内で同時期に開催予定だった「日本留学フェア」への参加&視察も兼ねて計画されていたものの、テロ事件でそちらの方の予定がすべて吹っ飛びます。
あいにくとその予定が空いた日は日曜日。
他のアポイントを入れることができず、月曜日には協定大学との意見交換の予定等があったため、やむなくその日は週休日にしたそうです。
ちなみに週休日にも、旅費や日当がすべて支払われます。
爆破テロ事件の直後なのだから、月曜日の大学訪問の予定はキャンセルして、同窓会が終わり次第帰国する選択肢もあったと思います。
まあ一歩譲って、そこは月曜日のアポを優先したとしましょう。
それでは東京から出張した職員の方々は、週休日に何をしていたんでしょうか?
みんなでアユタヤ観光ーー
全員ではありませんが、関係者の大半が週休日を利用して近場の有名観光地に足を伸ばしていたそうです。
皆さん、思い出して下さい。
「留学生や関係者には、不要不急の外出は控えるように通達した」
その結果、自分たちがこの行動...。
危機意識のカケラもないとの批判を免れることはできません。
しかも、都民からの税金で、日当が支給されている日に!!
私は独自調査により、この情報と日付入りの写真を複数ルートから入手し、真実だと見なせる根拠と判断を下したため、本日の委員会ではパネルにてアユタヤ観光の集合写真を提示させていただきました。
首都大学東京の学長さん、完っ璧に写っているからなあ...
(まあ彼は、事務方に連れていかれただけなんでしょうけども)
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何億という年間事業費からすれば、一つの同窓会の数百万という開催経費は多くないかもしれません。
しかしこの企画には上記のとおり、看過するには大きすぎる問題があります。
・そもそも海外での開催意義の薄い、税金の無駄遣いであること
・爆破テロ事件の直後であり、危機管理の判断に疑念があること
・そうした中で、東京から出張している職員たちの行動が極めて不適切であること
どこを切り取っても、都民の理解を得られるとは到底思えません。
冒頭述べたように、ただでさえ留学生へのバラマキとの疑念がある事業の中で、このようなずさんな運営が発覚すれば、事業全体の信頼を揺るがすことになりかねません。
本日の質疑を通して、東京都は週休日の過ごし方以外の事実は概ね認めつつも、「事業は適正に行われたと判断している」との姿勢を崩しませんでした。これには大きな失望を禁じえませんが、質疑を通じてしっかりとこの事業の実態・事実は白日の元にさらされました。
報道機関も入っていたので、明朝の新聞記事ではいくつか取り上げられると思います。
この留学生事業は本年度からアジアから世界全土へと拡張されるため、こうした事実を見過ごしていれば来年はパリだ、ニューヨークだと職員の慰安旅行に税金が投下される可能性があることも否定できません。
本事業の妥当性の徹底的な見直しが行われ、少なくとも来年の同窓会は東京で開催し、1円たりとも都民の税金が無駄に使われることのないよう、本件は引き続き追求をして参ります。
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最後に都政を動かすのは、皆さま方の力です。
ぜひともこの事実にご注目いただき、様々なご意見を東京都や議会に届けていただければ幸いです。
本日の質疑全文(要約)は、下記リンクに保存しておきます。
議事録が出るのは当分先なので、正確ではない部分もありますが、参考にどうぞ。
アジア人材育成基金、バンコク同窓会に対する質疑応答まとめ(一部要約)
それでは、また明日。
(2015年11月30日「おときた駿公式ブログ」より転載)
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