日々、オウンドメディアを七転八倒しながら運営しているSix Apart ブログ編集部が、他社のメディアに切り込んでノウハウを聞きだす!各社のオウンドメディア担当者の血と汗と涙とノウハウを取材させていただく企画、「突撃!隣のオウンドメディア」はじめました。
ゆうせいさん(左)とやなぎさわさん(右)
月間PVが半年で10倍に成長
LIGから転職して、ビットエーブログを任された当初は、1ヶ月で数万PVほどしかありませんでした。それも特定の過去記事がPVのほとんどを稼いでいた状態です。2人で記事を量産しては公開するを繰り返すうちにPVがみるみる伸びて、半年後には10倍まで成長しました。
量産したって言っても、好き勝手に書けるわけではないですよね?
ええ、会社の看板を背負ったブログなので、完全な自由という訳にはいきません。ビットエーのお客様はかなり堅実な企業が多く、おふざけが過ぎてしまってはいけない事情もあります。昨年の夏、面白半分で変なキュレーション記事を作った結果、まったくバズらなかったどころか、社内から「何やってんの......?」と白い目で見られてしまい、ダブルで落ち込みました(苦笑)。
6秒以内にルービックキューブを完成させるというチャレンジ企画や、写真と文字でヒューマンビートボックス動画をやってみるって記事も試しましたが、どれも鳴かず飛ばず。手応えのない日々が続いて辛かったですね。「世の中がまだ我々のレベルに追い付いていないのさ」とポジティブに解釈して乗り越えましたが(笑)。
ビットエーブログの目的は?
ビットエーを知ってもらうのが第一の目的です。会社の認知拡大につながることはなんでもやるぞと決めて、始めのうちはノンジャンルで手当たり次第に挑戦していたんです。ふと気がついたらテーマが広がりすぎてしまったので、「そろそろターゲットを絞っていきましょう」となり、今は『Web屋を、もっと格好よく』というテーマで"Webに関わってる人"をターゲットにしました。
"Webに関わる"だけでは、まだ広すぎません? マーケティング寄りなのか、テッキー寄りなのか
自社の認知度を高めるのが目的なので、まずは広めに設定しようという判断です。それと、転職サイト経由で採用するとけっこうコストがかかるので、自社で直に採用できたらいいなと。今は採用ページをリニューアルしているところで、ゆくゆくはブログに採用バナーを掲載していこうと考えています。認知だけでなく、仲間を増やすことも目的になっています。
ブログ経由でお仕事の相談を受けることもありますが、それは二の次。まだそこを増やそうとは考えていないし、導線も最低限にとどめています。
意図した認知効果は発揮していますか?
発揮していますね。社名はもちろん、我々2人の名前も知られてきた実感があって、業界イベント等でお会いした知らない人から、「"ご存知"※の人ですね!?」と声をかけられる機会が増えています。
※執筆者の名前を覚えてもらうため、「いい夢見ろよ! やなぎさわでした」、「ご存知、ゆうせいでした」と記事を締めくくる独自のルールがある。
まじめなネタが中心ですが、まれにおふざけネタも混じりますね
社内では賛否あるんですが、楽しそうにやってる会社だなって感じてもらいたいので、あえて内輪に走ってみるネタも必要だと思っています。そもそもLIGに転職しようって決意したのも、彼らの内輪ネタ記事が面白かったからなんですよ。LIGの社員が夜中にオリジン弁当の買い出しに出かけて仕事をがんばるってだけの話なんですが、一体感があっていいなと思いましたね。
内輪ネタって、共感と白けが紙一重だから、取り扱いに注意が必要じゃないですか?
内輪ネタがすべてダメってわけではないと考えています。ただし、外部の方が読んで共感できる内輪ネタであればOKですが、"内輪にしかわからないネタ"はダメ。ビットエーブログはきっちりとしたナレッジや使えるノウハウを入れる基本方針はあるんですが、それが逆に固い印象を与えてしまっている部分もあるので、今後はおふざけネタも増やしていきたいですね。
最近のメディアではネット検索で情報を拾って、ざっとまとめて一丁上がりって記事が目立ちません?
たとえば、ニューヨークでブロードウェイを365日欠かさず観続けたとして、セリフはカンペキに覚えても、ダンスをマスターできるかといったら無理ですよね。見るだけと、実際にやるのとでは天と地の差があります。
既存コンテンツをキュレートして一丁上がり的なまとめ記事はたしかに拡散されやすいけれど、それだけでは物足りない。実際に自分で体験して書くコンテンツにはオリジナリティがあります。ビットエーという会社を好きになるファンが増えるよう、そんな記事をもっと出していきたいです。
企業メディアならではのやりくりの難しさ
個人ブログじゃないので、好き勝手には書けないし書きません。面白さを失わずに企業目的も達成するネタ作りは、正直ラクじゃないです。「このネタで行っていいのか?」とか「ここは見直すべきではないか?」といった議論は日常茶飯事ですよ。
やなぎさわはフォトショップやイラストレーターの引き出しをたくさん持っています。記事のアイキャッチの素材に困ったとき、無料の素材サイトを紹介したら、シェアされた記事があって、それが自分の鉄板ネタになっています。ただ、得意なことだけを書くとネタが枯れてマンネリ化するので、常に新しい視点で考えています。
ネタ出しのスタイルは?
わりと孤独な作業でして、基本はそれぞれが一人でじっーーと熟考するスタイル。考えたネタを互いに持ち寄って意見しあいます。週次の効果測定会議で思いつきレベルのアイデアが出ることはあっても、それを咀嚼して具体的なネタに落とし込み、記事化するのは我々2人の仕事です。
それなりに記事は作ってきているので、拡散されやすい鉄板コンテンツはどんなものかわかってはいます。ただ、ベタすぎるまとめ記事を出すのは、いかにも無難にシングルヒットを狙いに行ったようで、個人的にはちょっと恥ずかしい(苦笑)。それでバズってPVが伸びても、諸手を上げて喜べなかったりします。運営はかなり自由に任されていますけど、バズらなかった記事を出した後の会議の重苦しい雰囲気はきついですよ(笑)。
写真のクオリティがやけに高いのはなぜ?
グラフィックデザイナーのやなぎさわのおかげです。キレイに仕上がったアイキャッチは彼が作ったもの。この画像があるために、サイト全体の見栄えもよくなっていますね。ちなみに、ややクオリティの落ちる画像は私(ゆうせい)の作です(笑)。
ふたりとも撮影慣れしている印象があるんですが、上手なドヤ顔の仕方ってあるんですか?
最初は撮られることが恥ずかしかったですし、自分の姿を見るの嫌で嫌で仕方なかったです。でも数を踏むことで鍛えられましたね。バナー素材になったりもしたし、オモシロCMに出演したことで、感覚が麻痺してドヤ顔できるようになりました。
自分が写った写真を、恥ずかしがって見ない人は多いです。上手にドヤ顔できるようになるコツは「自分の写真を直視する」こと。照れと羞恥心を抑えこんで、「この角度はイケてないなあ」とか「この髪型のオレ、キモいぞ」って振り返りながら、映りの良くなる角度や表情を研究しました。あと、「しゃべるときに顎が上がってしまうクセがあって映りが悪いから、意識して顎を引いて話そう」ってことも気づけたりしますよ。
おかげさまで、ぱくたそで「ワイドショーを賑わす夜の密会写真素材」として出演も果たしました(笑)。
ネタを作るときのこだわり、情報収集、ストックの方法は?
ゆうせいさん
ネタはEvernoteに書き溜めていく。情報収集はFacebookを見たり、Twitterを眺めたり。フォローすべき情報源をちゃんと見極めて、一次情報が速いアカウントをウォッチする。気になるキーワードでツイッター検索して、その中からチョイス。自分の情報源は自分で取捨選択して洗練させていく。
やなぎさわさん
googleスプレッドシートでネタ帳を管理。ゆうせいさんと共有もカンタン。
PVはどこまで伸ばしたい?
まずは月間100万PVまで持っていくのが目標です。100万PVにリーチしたときに、さらにPVを増やすのか、コアなファンを増やすのかを考えるつもり。そのステージに登れば、認知以外のアクション(採用や記事広告)が現実になります。二人の運用で早くそのステージに持って行きたいです。
個人的な感触ですが、月間100万PVになれば上昇気流に乗れるって思っています。そのためにはバズ記事はもちろんですが、検索流入をもっと増やさないといけない。そこで、GW明けから更新頻度を1.5倍上げ、いまは1日1記事を公開しています。このペースで2ヶ月走らせて、PVをどこまで伸ばせるかのチャレンジです。
PV以外にも、ソーシャルの力も強化したいです。ビットエーのTwitterも、個人のTwitterもフォロワーを増やしたい。はてブはあまり意識しすぎないようにしています。拡散の最初のスタートダッシュにTwitterをもっと使いたいなと。
常に〆切に追われているので、気は休まらないですね。とは言え、夏休みの宿題感覚で記事を書くとつまらないコンテンツになってしまうので、自分たちが楽しむことを忘れないようにしています。
ビットエーブログが目指す方向性ってなんですか
「ビットエーブログ(を書いている我々中の人)とビットエーをうらやましい」と思ってほしい。すごいではなく、うらやましい、です。ゆうせいとやなぎさわはいつも楽しそうに記事を書いて、あちこちのイベントに出席して面白そうに仕事しているメディアだなって思われたいですね。
こんな言い方をすると失礼かもですが、ビットエーブログってLIGブログのミニ版っぽい
ふたりともLIG出身なので、LIGっぽさが見えてしまうのはある意味当然です(笑)。ただ、裏を返せば、そのレベルまで来ているということ。LIGと同じことをしているわけではないけれど、これまでやっていて楽しかったことをビットエーでも続けているつもりです。
ずっと気になっていたんですが、ゆうせいさんの名刺のCAO(Chief Atmosphere Officer)ってなに?
会社の雰囲気を良くするチーフオフィサー、「雰囲気担当」です(笑)。ビットエーでの肩書の話をしていたとき、僕から「雰囲気担当でどうですか。雰囲気は英語でアトモスフィア。略してCAOでどうでしょう?」って言ってそれが採用されました。
ただ、あるとき名刺交換して、先方に誤解されたことがあります。CAOには最高総務責任者(chief administrative officer)とか最高会計責任者(chief accounting officer)って正式名称があるんですよね。マジメなバージョンも必要だなと思ってふつうの名刺と使い分けています(笑)。
雰囲気担当の業務なんて、あるんですか?
ビットエーブログ以外に、社内のお菓子販売店の運営もしています。社員でやるオフィスグリコのようなもので、戯れで社内の雰囲気アップに貢献しています。ネットでお菓子、ジュース、カップ麺をまとめて仕入れて、少しだけ乗せて社内販売しています。
最近はネスカフェアンバサダーになり、ホットコーヒーを50円で販売中です。夏に向けて缶コーヒーも売っていますが、近所のセブン-イレブンが100円アイスコーヒーをスタートしそうで、どうやって売っていくか店長のやなぎさわと戦略を練っているところ(笑)。
そういえば、昨年仕入れたスイカバーは不人気で売れなかった......。こういった在庫リスクも考慮して運営しています。遊び半分ですが、楽しいですよ。
あと、社内報も作る予定です。社員にインタビューしたり、役員のメッセージを掲載したり。最初はイントラブログでやろうかと思っていましたが、あえて紙にしてみようかという案もあります。何ヶ月か運営してから、そのノウハウをブログで紹介してもいいですしね。
ゆうせいさん、やなぎさわさん、ありがとうございました!
(2015年6月16日「Six Apart ブログ」より転載)