クリスマス・ショック―『スコットランド人夫の日本不思議発見記』(16)

お互いのクリスマス事情を討論していると、夫がネットで衝撃的な事実を発見しました。

今回はクリスマスのお話です。

毎年3月下旬から4月に行われるイースター(キリストの復活祭)同様、クリスマスは最も重要なイベントとして、もちろんここスコットランドでも盛大にお祝いされています。

今や、どこの国でもお馴染みのクリスマスですが、夫にとって「日本のクリスマス」は未知なるものらしく、どのように祝っているのかと聞いてきたので、私はこう伝えました。

「フライドチキンを買って来て、家族、もしくは友人たちとパーティーをしていたな」

すると、夫は目を丸くして驚きました。

「まぁ、そうでしょうね......」

私は、義母から教えてもらったことを思い出しました。クリスマス用の七面鳥は、11月に入ったらすぐさま予約するのが慣例であると――。

そして、夫はこうも付け加えました。

「唯一、ヘルシーな物を食べる日でもありマス!」

どうやら、スコットランド人は普段、ジャンクフードばかり食べているという自覚があるようです。

クリスマスについてあれこれ話しているうちに、私はふと、あることが気になり、夫に聞きました。

「そういえば、こっちでは25日にパーティーをするな。日本でクリスマスといえば24日のイヴがメインなのだが......」

すると、夫の反応は――

「たしかに日本のクリスマスイヴは、恋人たちがよろしくやっているイメージしかない......」とは、さすがに伝えることが出来ませんでした。

なぜかというと、こちらでの「クリスマス」は日本の正月に似た所があり、家族・親戚が一堂に会し、伝統的な食事をする特別な日だからです。

ですから、日本と違い、クリスマス前後は店もすべて閉まって閑散としています。

イルミネーションを見るため、外出し、レストランで食事する日本人を見たら、きっと度肝を抜かれるでしょう。

お互いのクリスマス事情を討論していると、夫がネットで衝撃的な事実を発見しました。

私も仰天しました。

「意味がわからない! 何ゆえ仏教徒の多い我々、日本の方が、キミたちより早くクリスマスを受け入れたのだろう!?」

すると、夫は得意げにパソコン画面を読み上げました。

「スコットランドはプロテスタント派であるスコットランド長老教会という新教が支配していて、その長老教会がクリスマスはカトリック的で迷信的であるとして禁じていた。その後スコットランドのカトリックと長老派信者の間で理解を得ることはできたが、400年以上もクリスマスを祝うこと自体は奨励しなかった。12月25日が「クリスマスの日」として国民の休日になったのは、1958年になってからであり、日本では1870年代から続々とクリスマスらしい事が始められていた。ダッテ!」

「クリスマスの伝統」はスコットランドより日本の方が長い、というなかなか戸惑いを隠せない結果となりました。

余談ですが、スコットランドにはホグマニー(Hogmanay)と呼ばれる特別なお祭りが大晦日から新年に掛けて行われます。昔はクリスマスの代わりも兼ねていたので、プレゼント交換も新年に行われていたらしいです。故に現在、クリスマスとホグマニーのダブルイベントでスコットランドの年末年始は大忙しです。

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