国民年金の年金保険料の納付率が2012年度、59.0%だと厚労省は主張する。
これには数字のマジックがあって、分母から年金保険料の納付を免除あるいは猶予された人を除いている。だから厚労省と年金機構はなるべくたくさんの人を免除や猶予しようとしている。
もし、免除された人、猶予された人を分母に加え、国民年金に加入している人全体を分母にして納付率を計算すると、39.9%にしかならない。
今国会に厚労省は、現在30歳未満まで認めている猶予期限を50歳まで延長する法案を出している。分母減らし作戦だ。
猶予されると、10年間遡って追納ができる。しかし、どれだけの人が追納したかを調べると、学生納付特例制度を使って猶予を受けた人のうち、追納機関に追納した人は13-16%しかいない。
年金保険料を免除されると免除された期間の年金は半額に減らされていまうが、猶予を受けるとその期間は年金の支給金額には全く反映されない(年金の受給資格の計算には加えられる)。
だから猶予を増やす厚労省の作戦によれば、年金金額がどんどん減ってしまうことになる。
平成24年度末の国民年金の満額は65,541円。それに対して65歳以上の単身高齢者の生活保護の生活扶助費は80,140円から62,960円(地域によって金額が違う)。
単身高齢者で住宅扶助まで受けると、生活保護でも133,840円から103,860円までが支給される。
2011年に生活保護を受けた人の数は2,067,244人。そのうち65歳以上は787,330人。その46.4%である365,410人は年金受給者だが、一人当たりの年金受給額は47,997円。
現在の国民年金の受給者の平均年金金額は49,947円。
つまり、国民年金しかなくて、貯金も所得も住宅もないと生活保護を受ける可能性が限りなく高くなる。
こうしたデータを見ると、年金制度の抜本的な改革が必要なのではないかという思いが強くなる。
(2014年2月18日「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載)