「却下されたらそこからスタート」と言えれば、世の中はポイズンではなくなります

組織の中でのタブーというのは犯してみると意外とすんなり道が開けてしまうものです。

♪言いたいことも言えないこんな世の中じゃ ポイズン

なんて歌が流行ったのは私が大学生のころ、1998年です。が、実際社会に出てから考えると、そのポイズン、ホントに毒だった?って思うことが多いです。

もちろん、何でもかんでもしゃべっちゃって、致死量のポイズン飲んで意識不明になる人もいますが、まあ普通、人の噂も2ヶ月ちょいです。そして、言ってみたら言ってみたで、毒にも薬にもならないこと多数です。

私は「長期休暇は2週間まで」と不文律を作っていた上司の下で、2005年12月に2週間、2006年1月に1週間休みをとり、怒濤の22連休でインドに行って上司に嫌われましたが、先に会社からいなくなったのは上司の方でした。(そして、その体験を書いたblogが回り回って、本を出版したり、こうやってハフィントンポストに書いたりの起点になりました)

自動車会社で働いているときも、周りの「お前も自社の自動車を買え」という圧力に負けず「小田急線が自家用車だから」とわけのわからないポイズンを吐き続けたたら、固定資産がなかったのでカジュアルに会社を辞めて世界一周旅行に出られました。(そして、その世界一周の時のblogが...以下同文)

こんな風に、組織の中でのタブーというのは犯してみると意外とすんなり道が開けてしまうものです。

これは、別に日本に限ったことではありません。

先日、私が運営している研修プログラム、サムライカレープロジェクトの卒業生、岸本君がアメリカに留学しました。

1年間の留学で、現地のアメリカ人および各国の留学生と大学で経済を学んでくると言うことなのですが、彼の趣味のひとつがトランプのポーカーでした。

そして、ポーカーの中でも、テキサス・ホールデムというルールのものがあり、アメリカでは同行の志がいるのではないかと楽しみにしていました。

が、残念ながら留学した大学にそのクラブはない。ただ、周りのアメリカ人に聞いてみたところ、やりたい人はたくさんいたそうです。

「なかったら作ればいいじゃん」

早速、新しいクラブを設立する方法を調べてみました。

どうやら、5人部員を集めて、きちんと所定の書類を作り提出。その後、生徒会に具体的にどんな活動をすればよいのか報告すれば作れるらしいです。

意外と簡単なので、早速申請。

が、あっさり却下。

どうやら4年間在籍する普通の学生ではなく、1年しか在籍しない留学生であることがネックになったようです。

「却下されたら、そこからがスタートなんです」

ただ、そんなことで簡単に引き下がるような男ではありません。

却下された後、なにが問題点なのかを聞きにいき、改善内容を検討します。

どうやら1年しか在籍しないことから、それ以降のクラブの存続の可否が問題になっていたようです。それなら、4年いるメンバーも含めて会員をもっと増やせばいいのか?賛同者を増やせばいいのか?というように問い合わせてみると、あいまいな返事が。

そこで、実際に部員を37人まで増やし、賛同者の署名も集め、この申請期間に行った活動の実績と今後の活動予定をレポートにまとめ、生徒会の前でプレゼンをしてみました。

結果は、仮承認。4週間仮承認期間をやるから、その間きちんと活動ができることを証明できたら、設立を認めてやるということになりました。

で、そのミッションはきちんとクリア。正式にクラブとして承認されました。

彼が、クラブを作らないであきらめる理由はいくらでもあります。「ポーカーじゃなくて勉強しに来たから」「アウェーのアメリカでクラブ作るとか無茶だから」「1年留学の生徒はクラブ作れないってルールみたいだから」

でも、作りたいから作ってみるという理由で、実際に作ったという経験は、彼の今後の人生の財産になるはずです。

若いうちから、成功体験を積み重ねる

アメリカで、アメリカ人の生徒が過半数を占める大学で、アメリカ人の職員と話し合いをして、自分でクラブをつくったという経験を積むと、彼の中で「自分はアウェーの地でも新しいモノを作れる人だ」という自己承認が生まれます。

この後、会社でなにか困難があったときにも「アメリカの大学でもできたんだから、今回もできるだろう」と新しいチャレンジができるはずです。

そもそも、アメリカに行く前に受講したサムライカレープロジェクトの教えは「とりあえず、やってみろ。問題が起こったら、店長が代わりに謝る」です。

カンボジアというアウェーの地で、研修プログラムという守られた場所で、自分のやりたいことをやってみたという成功体験があったからこそ、アメリカでもチャレンジができたのだと思います。

つまり、

カンボジアで、プロジェクトの助けを借りて、自分の考えを実行に移した

アメリカで、自分で大学と交渉してクラブを作った

というように、段々と難易度を上げながら、成功体験を積み重ねていっているわけです。

自分に自信がないと、なかなか新しい事を始めることはできません。ましてや、えらい人に一度却下されたことを、それでも続ける事は難しいです。

でも「あの時は、上手くいったから」という体験があれば、またチャレンジできるのです。

♪やりたいこともできないこんな自分じゃ ポイズン

こんな風に自己否定をしている人は、いきなり大きな事をやろうとしないでください。

自分の身の回りで、ちょっと無理かなーとか、失敗したらちょっと痛いなーと思うことからチャレンジしてみるのです。大切なのは、絶対成功することではなく、失敗したらちょっと痛みを伴う可能性があることにチャレンジすることです。

そうやって、成功したら成功体験になりますし、失敗したら「まあ、失敗してもこれくらいの痛みか」と失敗に慣れるきっかけになります。

そうやって「成功体験」と「失敗慣れ」を積み上げていくと、なんでもかんでも積極的に行動できる人間になれるのです。

じゃ、そういうことで。

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