ターゲットを絞った小規模な企業が、Airbnbの競合として生き残っていくだけの余地はまだ残っているのだろうか?
この問いにイエスと答えようとしているのが、フランス発のスタートアップMisterb&bだ。
この度、Project AとVentechから850万ドルを調達した同社は、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア)ユーザーに特化した民泊プラットフォームを運営している。
名前からもわかる通り、もともとMisterb&bは男性の同性愛者向けサービスとして始まったのだが、今ではLGBTQコミュニティ全体を包括するようなプラットフォームに変わろうとしている。
Airbnbも、いわゆるゲイ・タウン(同性愛者が集まる地域)の物件をたくさん扱っているが、ホストの素性についてユーザーは事前に判断することができない。
Misterb&bファウンダーのMatthieu Jostは、パートナーとの旅行時にホスト絡みで苦い経験をしたこともあり、この状況に警鐘を鳴らしている。さらに、同性愛が禁じられている国への旅行となると、リスクは一層高まってくる。
しかし、Misterb&bを利用する人たちは、全員がこの状況を理解しているので、わざわざホストに嘘をつく必要もない。
また、現地で直接情報収集するタイプの人であれば、地元に住むホストにオススメ情報を尋ねるのが1番だろう。
現在彼らは135か国でサービスを展開しており、ホストの数は10万人にのぼる。ウェブサイトの見た目や雰囲気はかなりAirbnbに近いので、ユーザーが利用時に戸惑うこともない。
ここで、冒頭の問いについてもう一度考えてみたい。
まず、Airbnbはこれまでに幅広い層をターゲットにした全方位型のサービスへと成長した。今となっては、彼らは潰れるには大きすぎるほどのサイズにまで成長し、別の企業がAirbnbを丸々代替するようなことは恐らくないだろう。
しかし、Airbnbが力を入れていない分野やターゲットが存在するというのも事実で、新興企業にもまだ勝機が残されている。
だからこそ、Onefinestayは超ハイエンド版のAirbnbとして成功をおさめ、後にAccorHotelsに1億7000万ドルで買収されたのだ。
Misterb&bも、ターゲットを絞りながら業界を先導する企業の類似サービスを提供しているスタートアップの良い例だ。
以上より、民泊市場には複数の企業がやっていけるだけの余地が残されていると個人的には考えている。市場が細分化しすぎない限りは、選択肢が増えるという意味で消費者には喜ばしいことだろう。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)
(2017年6月8日TechCrunch Japan「LGBTQコミュニティ向けのAirbnb、Misterb&bが850万ドルを調達」より転載)
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