最近、新聞記者さんから「組織体形が面白いですね」と言われたことが頭に残っています。
まだファクトリエを立ち上げて2年たっていないですが、メンバー構成は、
・経営
・工場開拓
・商品開発
・MD生産管理
・カスタマーサポート
・広報PR
・マーケティング
・撮影
・コンテンツ企画
・システム開発
・サイトデザイン
などそれぞれに専門のメンバーがいます。
ただ実は、ファクトリエの中で社員は私一人です。
では、外注・委託しているのかというと、そうでもありません。
ファクトリエの「日本の高い技術を持つ工場を盛り上げたい」という理念に共感してくれて、ある種"プロボノ"的に加わってくれています。
「プロボノ」とは、各分野の専門家が、職業上持っている「知識・スキル」や「経験」を活かして"社会貢献"するボランティア活動全般。また、それに参加する専門家自身。
日本では、プロボノ希望者をNPOなどに仲介するサービスの登録者数が2010年の1年間で前年の2.5倍になるなど、大きな伸びを見せている。企業においてもNECやゴールドマン・サックスが、子育て関連のNPOへのプロボノを社内で募るなど先駆的な活動をしている。アメリカ同様に、日本でも弁護士会などが公益的活動に対する義務的活動時間が設定されている場合が見られ、プロボノ活動として捉えられることもある。
出典:Wikipedia
たとえば、NPO法人を立ち上げる際に、本業などで身に付けた「スキル・経験」を"無償提供"し、NPOのマーケティングやブランディングにつなげる、といったイメージ。
一方「ボランティア」は、スキル・経験というよりも「単純労働」による社会貢献ですので、住んでる街の掃除を無償で行う、といったイメージでしょうか。
(このように対比で書くと、単純労働のボランティアを否定しているようにみえますが、決してそういうことではありませんのであらかじめお伝えしておきます)
■プロボノの事業会社版
つまりファクトリエのメンバーのほとんどが、ほぼ無償で彼らの知見をファクトリエに注いでくれています。ファクトリエはNPOではありませんので、「社会貢献」を行うプロボノとは少し異なりますが、知見を提供いただいているという点では同じです。
(一番右はネクタイ工場の楠社長。東京に来た際はみなで食事をします。)
「事業会社版プロボノ」という感じでしょうか。
本来であれば、彼らに適正な給与を支払うことが正しい企業としての姿であることは承知しているものの、まだまだ立ち上げたばかりの小さな会社です。全てのメンバーを雇用することは難しいのが実情。
ですので、立ち上げ当初は、求人も出さず、私一人で事業を進めてきましたが、徐々に「無償でいいからファクトリエを手伝いたい」とFacebookメッセージや直筆の手紙などが届くようになりました。
これは本当にうれしかったです。
このブログで何度も書いてきたのでくどいですが、世界に誇るべき日本の技術・工場が絶えようとしている中で、それを何とかしたいという想いで立ち上げた会社。その想いに共感してくれて、協力してくれるということに本当に感謝しています。
ライフネット生命のCOO岩瀬さんも自身の著で、ベンチャー企業にとって非常に重要な人材獲得にあたっては、「"何のためにその事業をやるのか"といった創業の理念、経営者の想い、そして一緒に働くことになる仲間の彩り豊かな表情をできる限り伝えられるよう、工夫することが大事。」と述べていらっしゃったように、この理念共感型による、仲間のジョインを小さいながら進められていることに喜びを感じます。
はたから見れば、「安く働いてもらってるだけじゃないか」という意見もあると思います。そういった意見は真摯に受け止めますが、将来彼らへの恩返しをしたいという想いがさらに前に進ませようとする原動力になっていることは間違いありません。
理念でつながったこのチームでこれからも軸をぶらさずに取り組んでいきます。