2018年06月18日 10時31分 JST | 更新 2018年06月18日 10時35分 JST

あの日「辞める」と決めた私が、10年後の今もここにいるワケ。

「私は、何のために会社を辞めるんだろう」

「じつは、一度本気で会社を辞めようとしたことがあるんです」。──そう語ったのは、エン・ジャパンで営業を務める水野亜美。2008年に新卒でエン・ジャパンに入社し、現在は派遣会社の募集支援を行なう部署で「関西エリアの営業責任者」を任されている女性です。

名古屋拠点でキャリアをスタートさせ、5年目でチームリーダー、10年目で営業責任者と順調にキャリアを築いてきた彼女。10年間で名古屋・東京・大阪の主要マーケット全てを経験し、今や事業の柱とも言える存在として活躍しています。

『どんな話でも、最後までしっかり聞いて受け止めてくれる』という声から、『クシャッとした笑顔が癒やされる』『たまにお財布を忘れたりするところも可愛い』なんて声まで、後輩からの信頼もばつぐん。そんな、一見順風満帆に見える彼女なだけに、「本気で会社を辞めようとしたことがある」という言葉はあまりにも意外でした。

周囲を惹きつけるその天真爛漫な笑顔が曇ってしまうほど、彼女を悩ませたもの。それは、一生懸命な人ほど陥りやすい苦しみでした。そしてなぜ、彼女はそこから這い上がることができたのでしょう。

10年前、「辞めたい」と言った水野に、上司がかけたある言葉。「何かやりたいことがあるの?」。──そのひと言こそ、彼女が「目的意識」の大切さに気づくきっかけだったのです。

<Profile> 2008年新卒入社(名古屋拠点配属)。派遣会社の支援を行なう部署で4年間営業を経験し、その後東京本社へ異動。同部署で5年間チームリーダーを務めたのち、2017年5月から大阪拠点へ。同年秋には営業責任者に抜擢され、派遣会社支援事業における関西エリアのビジョン設定、営業戦略の立案などを任されている。

|「頑張ること」が、目的になっていた

水野がエン・ジャパンに入社したのは、2008年のこと。それは、リーマン・ショックが起こった年です。企業の採用意欲が一気に冷え込み、エン・ジャパンが提供する「採用支援サービス」が受け入れられなくなってしまった時期でした。

企業に電話をかけては、「採用活動なんてできない」と断られる日々。そんな状況にも必死にくらいつき何とか目標数字を達成していた水野ですが、先の見えない不安と恐怖に、「つらい」「もう頑張れない」と思うばかりだったといいます。

「周りを見れば、辞めていく先輩がいたり、苦しむ同期がいたり。社内全体にマイナスの雰囲気が流れていましたね」と、当時の苦い感情を思い出しながら語る水野。

「私自身も、日々の業務でいっぱいいっぱいで...。"これがイヤだ"という明確なものがあったわけではないけれど、とにかく、ここから逃げたかった」

そして、何とか1年を乗り越えた2年目の春。社内で希望退職の募集が出たタイミングで、彼女はついに、上司に退職の意思を伝えました。

その選択に、「目的」はあるか

「辞めさせてください」

辞職の意思を固め、意を決して思いを伝えた水野。しかし、上司が首を縦に振ることはありませんでした。

自身の営業活動やメンバーの育成で忙しいはずなのに、業務の合間をぬって何度も何度も面談の時間を作ってくれた上司。とがめるでも突き放すでもなく、「辞めてほしくない」という想いをストレートに伝えてくれたといいます。

「何かやりたいことがあるの?」

上司のその言葉に、彼女はふと考えました。

「私は、何のために会社を辞めるんだろう」。その答えは、何度考えても出てきません。

しかし、反対に「何のために続けるのか」と考えたとき。頭には、いくつかの解が浮かびました。そこで初めて、彼女は気づいたのです。「辞める」という選択は、追い込まれていた自分の「目的のない逃げ」だったことを。

一生懸命さは、時に人を盲目にさせる

とにかく目の前のことに必死だった1年目。小さい頃から「やるからには成果を出したい」と考えるタイプだったその一生懸命さが、かえって彼女を苦しめていたのでしょう。

その頑張りを一番近くで見ていた上司は、もしかすると分かっていたのかもしれません。彼女の中で、"目的"よりも「頑張る」という行為が大きくなってしまっていたことを。

「期待に応えなきゃ」「必死にやらなきゃ」という焦りが、すべての行動を"やらされている"というマイナス感情にかえてしまったのです。目の前のことに必死になるほど、目的を見失ってしまう。上司の引き止めを受けて、彼女はそのことに気づいたのでした。

|いつしか軸になった、「何のために」

「もう少し頑張ってみよう」。

上司との面談を通して冷静さを取り戻した彼女は、再びスタートを切りました。

彼女の中で、変わったことが一つ。それは、どんな業務もまず「目的」から考えるようになったこと。何のために、1日○件電話をかけるのか。何のために、このミーティングがあるのか。

「"何のために"に目を向けるようになったことで、今までつらいとしか思っていなかった業務にも、全て意味があると思えた」と語る彼女。物事の表層だけを見るのではなく「目的」から理解することで、つらい状況の中でも今度は道を見失うことなく進めたのです。

そしてもう一つ、彼女を支えていたもの。それは、自分を引き止めてくれた上司の存在。自分を信じ、最後まで諦めずに引き止めてくれた上司のためにも、逃げてはいけない。いつしか、彼女の「頑張る目的」になっていました。

たとえ周りから見たら些細なことでも、本人にとっては、何より大きな原動力。誰かのために。そんな「頑張る目的」があれば、人は何倍も大きな力を出せるのかもしれません。

強くなれたのは、クライアントがいたから

2年目の12月。大型案件の受注に成功したことをきっかけに長いスランプ期を抜け出した水野は、その後3年目、4年目と、どんどん成功体験を積んでいくこととなります。

彼女が何より大切にしていたのは、「達成にこだわること」と、「どんなときでも"クライアントのためになる仕事"をすること」でした。

営業として、数字に対する意識は強く持つ。しかし、絶対にクライアントを置き去りにしてはいけない。「どうしたら喜んでもらえるか」「どんな提案ならその企業の課題を解決できるのか」を考えられて初めて、成果がついてくる。その考えこそが、彼女の圧倒的強さだったのです。

そういった姿勢が評価され、5年目の春には東京本社へ異動。5年間にわたり東京でチームリーダーを勤め上げた彼女は、いつしか派遣会社支援事業部を支える存在になっていました。

「達成にこだわる」という姿勢だけでも、高い成績を残すことはできたかもしれません。しかし、それではきっと、彼女はどこかで「満足」や「飽き」を感じてしまったでしょう。

「達成」に天井はあるけれど、「クライアントのために」にはゴールも正解もない。「何のために」という考えは、気づけば彼女の10年という長い営業キャリアの基盤となっていたのです。

|社会をより良くしていくために

2018年6月。水野はいま、大阪の地で事業部のビジョンやミッション設定、営業戦略の立案にチャレンジしています。「責任者になってつまづいたことはありますか?」と聞いてみると、「つまづくことだらけですよ」と、笑いながら教えてくれました。

「今のポジションは、仕事を生み出して人を動かしていく存在です。今まで"期待に応えるため"に成果にこだわってきた私にとって、"自分がどうしたいのか"を考えるのはすごく難しいことでした」。

チームリーダーよりさらに上のポジションを任され、再び始まった奮闘の日々。しかし、彼女はもう、乗り越えていく術を知っています。「何のために」を、見失わないことです。

私は"何のために"事業の責任者を務めるのだろう。そう考えたとき、水野の頭には一つの「やりたいこと」が浮かびました。それは、「より多くの企業・求職者が、派遣業界にプラスのイメージを抱ける社会」を作ること。

「派遣で働きたいと思う求職者と、派遣で人を雇用したいと言う企業が少しでも増えるように。ただ業績を上げるために働くのではなく、派遣業界全体を変えるような仕事がしたい」。そう、力強く語る水野でした。

より良い社会をつくるために。それは、入社当初の彼女からしたら想像もできなかった「目的」でしょう。しかし、「何のために」と向き合い続けることで、彼女はうんと大きな「やりたいこと」に出会ったのです。

『水野さんはいつも、"それは求職者にとってどうなのか"、"クライアントにとってどうなのか"という言い方をします。どんな場面でも、目先の利益ではなく"社会にとって良いこと"を選ぶ人なんです』。これは、水野のもとで働くメンバーがあるとき語ってくれた言葉です。

迷ったり、つまずいたりしたら、何度でも「目的」に立ち返ろう。そうすることで、やるべきことが見えてくるはずだから──。彼女は今日も、そう唱え続けるのでした。

「明確にやりたいことがあったり、目的が全く見えなかったりしたら、別の道に進んだって良いと思う。でも少しでも頑張る理由が見えるなら、もうひと踏ん張りしてみるのもいいんじゃないかな?」

取材の最後に、彼女はそう教えてくれました。「何のために」だって、難しく考えすぎる必要はない。そう思ったら、肩の力がすっと抜けていく気がしました。

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