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2017年07月20日 17時11分 JST | 更新 2017年07月20日 17時11分 JST

第1期が終了! 海の自然を守る個人起業家の支援プログラム

豊かな海に囲まれている日本では、漁業や養殖、その加工や販売といった形で、古くから地域の経済基盤としても広く利用されてきました。しかし...

世界の海で深刻化している、魚や貝などの過剰な漁獲や、海洋環境の悪化。この問題への取り組みの一つとして、新たにスタートした「OCEANチャレンジプログラム」の第一期が終了しました。これは、WWFジャパンとImpact HUB Tokyoが共同で、持続可能な水産業を目指す個人起業家を支援する取り組みで、2017年4月16日には、参加した起業家による第一期の事業計画発表会を開催。投資家や個人起業家、水産業関係者や報道関係者など約60人が参加し、海の保全につながるビジネスモデルのアイデアについて、意見交換を行ないました。

「海の自然を守る」新たなビジネスをめざして

自然の恵みである、魚や貝、カニやエビなどの水産物。 豊かな海に囲まれている日本では、漁業や養殖、その加工や販売といった形で、古くから地域の経済基盤としても広く利用されてきました。

しかし、水産物の「獲り過ぎ」による過剰な利用により、日本各地で水産資源の減少が深刻化。海洋環境の悪化も招いているほか、地域の暮らしも圧迫しています。

これらの課題を解決するため、WWFは環境に配慮した「持続可能な水産業」を広げる取り組みの一つとしてMSC(海洋管理協議会)やASC(養殖管理協議会)といった国際的な認証制度の普及に取り組んできました。

日本各地で水産業に携わる人の中には、現時点ではこうした国際的な認証の取得が難しい、個人や家族での経営を含む中小規模の事業者の割合が高く、制度の普及の課題になっています。

今後日本でも「持続可能な水産業」を進めていくためには、すでにMSC認証などを取得している大企業だけでなく、中小規模の漁業者を含めたより多様な事業者による取り組みの広がりが重要となります。

そこで、WWFジャパンと起業家支援を行なうImpact HUB Tokyoは共同で2016年11月に「OCEANチャレンジプログラム」を開始しました。

これは、持続可能な水産業を志す個人起業家と、ユニークなビジネスアイデアを募集し、今後の持続可能な漁業へのチャレンジを広げることを目的としたものです。

第一期の実施では、選考を経て5名の起業家を採用。

約3カ月間のプログラムを通じて、各事業がより環境的・社会的な影響力が大きくなるよう、またビジネスとして経営も成り立つよう、事業計画案の改善を支援してきました。

海を守り、持続可能な漁業を推進するビジネスを目指して

第1回目の開催となった2017年1月~4月のプログラムに参加した5名の起業家は、 約3カ月間の内で計3回、全7日間に渡るワークショップに参加。

各自がビジネスを通じて解決に貢献したい課題と、それらを実現するための仕組み作りを繰り返し分析・発表し、多様な分野の専門家の指摘を踏まえて事業計画案の改善を図りました。

WWFからは、海の環境保全や水産資源の持続可能な利用の観点から、またImpact HUB Tokyoからは、個人での起業を成功させるためのビジネス戦略作りの観点から助言や知識の共有を行なったほか、起業や経営に関する法律や手続き上発生し得るリスク、また効果的な宣伝方法などについては外部の専門家を招いて、事業計画案のブラッシュアップを重ねました。

事業計画案を繰り返し修正していく中でも最も大変な作業となったのは、解決したい海の課題への貢献度と、現状の個人事業の規模・資金・人材で実現し得る方法のバランスを見極めることでした。

世界で繋がっている海の環境や、回遊する水産資源を守るための活動は、時にその範囲や規模、協働すべき関係者などが膨大で多様であり、「海を守りたい」という起業家の想いが強いあまりに、時に個人事業の収益構造や、先行投資の回収が充分に見積もれていないリスクが露見することもありました。

海の持続可能性を高め、その取り組みを確実に広げていくためには、その事業の収支のバランスや、働く人の労働環境も、無理なく続けていける形でなくては長く続けることができません。

海を守る観点を尊重しつつ、事業自体の持続可能性が確保されるよう、細かな想定での分析と議論を重ねました。

また、ワークショップ日以外には、想定される顧客層や関係先への視察やインタビュー、意見交換といった宿題を各自で実施。水産業界が抱える課題や、事業を進める上で障壁となり得る要素を分析して参加者間で共有し、各自の事業計画案の改善を進めてきました。

発表会の開催と今後への期待

約3カ月間に渡るワークショップの最終日となった2017年4月16日(日)には、起業家や投資家、水産業関係者や報道関係者などを招き、事業計画案の発表会を開催。

事業モデルが現実的になってきた4名が、プログラムを通じてブラッシュアップしてきた事業計画案を発表し、約60名の参加者と質疑応答を通じて意見交換を行ない、今後各自の取り組みを拡大して行くための協力者を募りました。

これらの取り組みが、今後どのような形で結実するかはまだ分かりません。

持続可能な水産業や海の環境保全に貢献する取り組みを、ビジネスの一部として取り込み、拡大していくことは簡単ではないからこそ、そのような志を持ち、自ら行動を起こす個人事業者同士の繋がりを持ち続けることは、ビジネスチャンスを広げる大きな機会となり得ます。

WWFジャパンとImpact HUB Tokyoは、本プログラムの第1期卒業生の取り組みが、事業を通じてますます拡大していくこと、そして今後より多くの起業家、より多くの消費者が、海を守る活動に主体的に参加することを期待しています。

また、今後は2017年秋頃から、OCEANチャレンジプログラムの第2期生の募集を開始。第1期となった今回のプログラム参加起業家へのOBインタビューも予定しています。

◆詳しくはこちら

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