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2018年03月13日 10時35分 JST | 更新 2018年03月13日 10時35分 JST

東日本大震災7年。外国人に頼らなければいけないのは労働力だけじゃなくなった

言語の壁を簡単に打ち破り、高齢化に苦しむ日本の地方に希望を与えてくれるのかもしれない。

東日本大震災から7年となった3月11日。新潟県内でも福島からの避難者が暮らす地域や、地震の被害があった地域などでは追悼イベントがあったが、私が住む魚沼地域は深刻な被害がなかったからか、大きなイベントはなかった。そんな中、私の家から車で3分の集会所で「雪灯篭つくり」が企画された。震災を祈念し防災の意識を高めようと、東地区地域づくり協議会が毎年開催し、今年で5回目。これまでは協議会メンバーだけで灯篭を作っていたが、今年は日曜日ということもあり、周辺住民にチラシで「子どもから大人まで参加歓迎」と呼びかけた。

先月、近くの国際大学の外国人留学生ボランティアによる空き家の除雪作業を私がコーディネートしたことから、私にも連絡が入り、「もし学生さんに声をかけていただけると助かります」と言われた。私はインド人のナビーンに連絡をし、「もし、興味がある学生がいたら教えて。いなければ大丈夫だから」とだけ伝えた。

正直、以下の理由から、私は学生が集まるとは思えなかった。

●外国人がどれくらい東日本大震災を覚えているか疑問。

●除雪作業と違って、直接的な人助けになる仕事ではない。

●大学はテスト期間に入る直前の時期で大忙し。

●灯篭作りは午後2時からで、点灯は午後5時半ごろになるというから、縛られる時間が長い。

●夜に豚汁が振舞われるのだが、ナビーンの様なハラール学生にとっては何の魅力もない。

●参加条件が「長靴は各自持参」。学生の大半は滞在が1ー2年と短く、その短期間のために4-5000円もする長靴を買いたがらない学生は結構いる。

長靴に関しては、私が家族や友人から調達することもできたが、学生が本当に参加したいと思うなら、長靴を持っている他の学生から借りれるだろうと思い、ここは学生の自発性を試すことにした。

返信期限の3月8日、私はナビーンに「集まりそう?」とメッセージを打つと、「はい。5人集まりました」との返事がきた。ナビーンの他に、シリア人、ウズベキスタン人2人、そしてベトナム人。私は、それを協議会の方に電話で伝え、彼らの送迎をお願いした。

3月11日午後2時、現地に行ってみると、残念ながらチラシを見て来たというボランティアはゼロ。テレビでは震災7年の特集ばかりだが、直接大きな被害を受けていない地域では風化されつつあるのかもしれない。協議会メンバー15人(全員60歳以上)ほどが作業を始めかけた所に、留学生5人を乗せた車が到着。何と、5人中3人は長靴を履いていない。「足が濡れるなんて大したことありません」とのこと。

学生たちはスコップやスノーダンプを使って、雪の壁にローソクを置くための穴を掘ったり、バケツに雪を満杯に入れて、高さ30センチほどの雪の円形の搭をいくつもつくったりした。役員の方たちが、留学生に、道具の使い方を丁寧に教えた。

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ベトナム人のケンさんは「学校の勉強より、地元の人たちとこういう体験することの方がよっぽど記憶に残ります」と言い、シリア人のムハンナッドさんは「シリアの戦争も今年で7年です。だから、日本の津波はよく覚えています。シリアはこれまで日本の支援をたくさん受けてきたのだから、私たちも少しは恩返しをしたい」と話した。また、ウズベキスタン人のマリアさんは「私の国ではこうやって地域住民が助け合って一緒にやるのが当たり前です」と母国の思い出を語った。

協議会メンバーは、留学生の働きぶりを見て「来年からは、留学生さんたちだけでやってもらいたい」と笑顔で話した。言語の壁もあり、最初はお互い緊張した様子だったが、手取り足取りやり方を指導していくうち、肩を組んで写真を撮り始めたり、片言英語で「サンキュー、ベリーマッチ」と言い始めた。

そして午後4時ごろ、作業が終わった。協議会メンバーは留学生たちに「ありがとうございました」と深々と頭を下げた。「是非、午後5時半からの点灯も見に来てください。送迎しますから」と打診されたが、学生たちは「テスト勉強がありますので」と夜のライトアップを見ることなく、大学へ戻って行った。

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震災復興祈念イベント開催のお手伝いボランティアを地域で募集したら、外国人しか来なかったなんてことはありえるだろうか?よく、日本は労働力不足だから外国人を受け入れざるを得ないという議論があるが、もはや、日本は労働力以外でも外国人に頼らなくてはいけない状況になっているのではないか?彼らの相互扶助精神、日本文化への興味、そして色々なことを体験してみたいという好奇心は、言語の壁を簡単に打ち破り、高齢化に苦しむ日本の地方に希望を与えてくれるのかもしれない。

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