おしゃれさんは、坂を目指す

近況報告などをしながら、ランチを食べ終えると、ふと疑問に思って聞いてみた。「表参道には、どうして、おしゃれさんが多いのか?」すると友人Kは、「昔からおしゃれさんたちは、坂というものが好きなのです」と答えた。

私は、おしゃれな場所が苦手だ。自分が全くおしゃれでないため、周りの雰囲気とあっていないことが、恥ずかしいのだと思う。

できれば、一生おしゃれな場所には出かけることなく、粛々と人生を過ごしたいと願うのだが、どうしても出かけないといけない時がある。

先日も、建築家の友人Kに誘われて、表参道のおしゃれなカフェでランチをすることになった。「嫌だな・・・どうせおしゃれなんだろうな」と、重い足取りでカフェに向かうと、案の定、ステキなカフェであった。

近況報告などをしながら、ランチを食べ終えると、ふと疑問に思って聞いてみた。「表参道には、どうして、おしゃれさんが多いのか?」

すると友人Kは、「昔からおしゃれさんたちは、坂というものが好きなのです」と答えた。

「・・・つまり、どういうこと?」

「平坦な町は、歩いても前の人の姿しか見えないのだけど、坂だと視線が抜けて、道で色んな事をしている人達がざっと見通せ、それが賑わいとか華やかさを感じさせ、人をさらに呼びこむこととなっています。たとえば、シャンゼリゼ通りもスペイン階段もスペイン坂も」

「なるほど!」

「さらに表参道は、ラフォーレ原宿のところで坂が向い合っており、2倍2倍なのです。坂があると町を点ではなく、面で捉えられるようになるのです」

「たしかに!すごいな、表参道!!」

その後も、まちの環境が人の行動に与える影響について、友人Kから色々と教えてもらったのだが、同じ場所をみても、感じ方や捉え方がこうも違うのかと、驚きの連続であった。

「坂が、まちに賑わいをつくり、人を呼ぶ」

ただそれだけの話だが、あるいは他にも感銘を受けてくださる方がいるやもしれぬと思い、筆をとった次第。

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