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2018年09月04日 09時33分 JST | 更新 2018年09月04日 09時33分 JST

サマータイム制度の導入推進者は、まず一人リハーサルで検証して頭を冷やそう

時間前倒しは暑さ対策になるのか?

突如として湧いたサマータイム制度の導入機運。

8月の読売新聞の世論調査では反対が上回ったり、欧州ではサマータイム廃止法案の準備に入ったりと、少しずつ導入しにくい空気感が醸成されつつあって喜ばしい限りです。しかし、政府の検討が取りやめになったという話が聞こえてくる訳でもなく、まだまだ油断はできない状況と言えるでしょう。

個人的には大反対です。なぜなら、ただでさえ取り組むべき課題が多い国勢なのに、効果も疑わしく時代に逆行することに国のリソースを浪費している場合ではないから。

何とかサマータイム制度の導入を阻止したい。

本稿では、サマータイムに似たライフスタイルを既に送ってきた自分の経験に基づいて、この制度に全く意味がないことを論じてみようと思います。

時計の針をずらしてみたのか?

サマータイム制度のメリットとされていることは、暑さ対策・余暇が増える・経済効果がある・省エネです。

その効果を喧伝される方々の中に、時間の前倒し生活を実践した上で主張している人が一人もいないように見えるのは気のせいでしょうか。驚きを禁じ得ないのは「時計の針を動かすだけだから簡単なことですよね」と主張しながら、その簡単なことすら実践していないように見えることです。

せめて、主張する根拠の一つに自己の体験ぐらいは添えて貰いたいもの。

簡単でしょと言ってることを実践もせず発言しているなら、これほど無責任な主張はありません。時間をずらすのが簡単というなら実践して効果を実感してみたらいいのです。朝5時に起床し7時に出勤し16時に退勤する生活を実際に2週間や1ヶ月過ごした上で、効果があると主張すべきでしょう。

導入機運が急に高まった今夏8月。サマータイム制度を推進する方々の中に、時間前倒し生活を1週間でも実践した人がいるのでしょうか?この酷暑の国内で。

恐らく皆無です。なぜなら、実際にやってみれば、たかだか時計の針を1,2時間ずらしたぐらいで太刀打ちできる暑さではないことが分かるからです。やってみれば分かること。サマータイム制度の効果とやらは全く無いことに気が付きます。

時間前倒しは暑さ対策になるのか?

私事で恐縮ですが、僕は10年近く時計の針を約3時間早める生活を送ってきました。

3時半に起床し、6時前に出社、帰宅後、21時半には就寝というライフスタイルです。取引先と会食があるといった特別な日を除いて、季節に関係なく、かれこれ3000日はこういう時間の過ごし方をしてきました。暑さ対策ではなく、早朝に仕事がしたいという理由で始めて、現在も継続しています。

では時間前倒し生活の経験者として、サマータイム制度でメリットとされることを少しでも実感したことがあったか。

...全くありません

暑さ対策にはなりませんし、省エネにもなりません。余暇も増えませんし、消費も全く変わりません。これまでの夏もそうでしたし、今年の夏もそうでした。

実は最高気温が36度や38度の酷暑日には朝5時半に外を歩いても、うだるような暑さを感じます。せいぜい9時や10時の暑さよりはマシな程度で、暑いものは暑いのです。都市の中心部で酷暑日の朝6時台や7時台が涼しいなんてことはありません。涼しさを期待して時間を前倒しするなら、4時間は前倒しにする必要があります。

そもそも都市部の暑さは気温だけではなく、人の生活や経済活動による排熱に起因しています。ヒートアイランド現象についてここで論じることは避けますが、国民全員の生活時間をずらしても、暑いと感じる時間帯がただずれるだけのことです。

Yuichi Oishi

(2018年8月5日5時33分の写真。最高気温37度。あっという間にランナーの体力を削ぐに十分な暑さと湿度になる)

リハーサルが無いおもてなし?

サマータイム制度には、2020年オリンピックのマラソン開始時間を実質5時にしたいという思惑もあるそうです。が、甘すぎです。

7,8月は早朝も危険です。早朝だから涼しいってことはありませんし、湿気による蒸し暑さが体力を奪う点では昼間と変わりません。日差しが体温を上げる点も一緒。

趣味の一つがマラソンで朝5時台から10km,20km走ることもあるので言いますが、実質5時スタートは暑さ対策になりません。ゴールは実質7時台。都心のアスファルト上を42km走っていい環境ではありません。10kmでも体験すれば分かります。

2020年、本当に「おもてなし」のオリンピックになるのでしょうか。

おもてなしのプロは、リハーサルを必ず行います。心地よいか、不自然でないか、失礼はないか。入念なチェックを怠らないものです。時間ずらしで選手に配慮できると考える関係者の方々は、最高気温38度の日の朝5時に10km走ってみて下さい。暑さ対策にならないって分かりますから。

オリンピックの暑さ対策は、場所を変えるか時期を変えるかしかありません。単なる時間ずらしは全く効果のない見せかけの拙策です。それを国民全体を巻き込んで強制するなら、サマータイム制度は史上稀に見る愚策となるでしょう。

簡単と言うならまず一人リハーサル

サマータイム制度は暑さ対策に効果が無いだけではありません。省エネ、余暇、消費、これらにも全く効果がありません。

1,2時間早めに帰宅しても家でエアコンONにしますから、社会全体では省エネになりません。

1,2時間早起きするということは、1,2時間早寝する必要があるということ。早起き生活は早寝が支えるのです。消費も余暇も何も増えません。活動時間がずれるだけです。

サマータイム制度を推進される方はまず実践してから論ずるべきです。「自ら簡単だと言うことすら実践しない軽薄な為政者・識者」だと見られるのは本意ではない筈です。まず一人リハーサルで検証して頂き、頭を冷やして貰いたいと心底思います。