9日のニューヨーク外為市場では、米労働市場の改善が示されるとともに、米連邦準備理事会(FRB)当局者があらためて資産買い入れペースを緩める可能性に言及したため、ドルが円に対して急上昇し、約4年ぶりに100円を突破した。
週間の米新規失業保険申請件数が2008年1月以来の低水準となったことが発表されるとドルは上昇を始め、午後早い段階にはオプション・バリアが破られて上昇が加速した。
ロイターのデータによると、一時は2009年4月以来の高値である100.79円を付け、終盤は前日比1.6%高の100.58円。1日の上昇率は過去1カ月間で最大となった。
あるトレーダーによると、円を売った資金で新興市場通貨を買う動きも見られた。
BNPパリバのFXストラテジスト、バッシリ・セレブリアコフ氏によると、米30年国債入札に日本の投資家が参加したのではないかとの観測もドル相場を支えた。
セレブリアコフ氏は「米国への日本資金の流入は数週間前から予想されており、30年債入札で間接入札が増加したことで、日本勢が買い手ではないかとの思惑が高まった」と説明。「失業保険申請は確かにドル高に手を貸したが、今日はファンダメンタルズ面できっかけがあったわけではない。」と述べた。
セレブリアコフ氏はまた「ドルの100円到達はさほど驚くに足らないが、この水準を突破すると上昇が加速した」とし、「100円近辺で数多くのオプション・バリアが破られ、ショートカバーも入った」と付け加えた。
ソシエテ・ジェネラルの通貨ストラテジスト、セバスチャン・ゲーリー氏は「今回、100円の壁の守りは弱かった」とし、「壁が破られた以上、ドル/円の上昇余地は広がったとみている」と話した。
労働市場の状況はFRBの政策の鍵を握る。9日は複数のFRB当局者が、資産買い入れプログラムの効果とペースについてあらためて見解を述べた。
ユーロは、スペインの国債入札結果が予想より弱かったことを一因として、対ドルで下落した。
ユーロは一時、4月26日以来の安値である1.3009ドルを付けた。終盤は前日比0.9%安い1.3038ドル。
ユーロ/円は終盤、前日比0.7%高い131.14円。
スペインは近々シンジケート団を通じて国債をさらに売り出す計画だとの観測が広がり、スペイン国債の利回りは上昇した
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欧州中央銀行(ECB)が追加的な金融緩和策を打ち出す可能性があるため、市場参加者はユーロの長期保有を避けたがっている。
9日のドイツ紙によると、ECB理事会メンバーのバイトマン独連銀総裁は、ECBは先週の利下げ後もさらなる措置を講じることが可能との認識を示した。
8日発表されたドイツの鉱工業生産指数は予想を上回ったが、ユーロ圏の経済活動は依然として概ね弱く、ECBは近く追加策を採るとの予想がくすぶり続けている。[ニューヨーク 9日 ロイター]