11日終盤のニューヨーク外為市場では、日銀が長期金利安定化に向けた追加策を打ち出さなかったことへの失望感から、円がドルとユーロに対して急伸した。
日銀が政策の現状維持を決めたことで、日経平均
ニューヨーク市場の取引時間に入り、米3年国債入札の低調な結果を受けて米国債利回りが跳ね上がったことで円買いが加速し、ドル/円は95.60円まで下げる場面もあった。ユーロ/円も一時127.07円までユーロ安が進んだ。
終盤のドル/円は2.73%安の96.04円。
シティFX(ニューヨーク)の通貨戦略グローバル責任者、スティーブン・イングランダー氏は「米国債の利回り上昇が市場をおびえさせたと思う。投資家は利回りにわずかでも上昇圧力がかかるのを目にすると、すぐに株を売り、為替を含めて幅広くポジションを落とした」と述べた。
日本の金融庁が、破綻金融機関の損失処理で投資家に一定の責任を負わせて納税者の負担を軽くする新しい制度を導入すると伝えられたことも、円買いの一因と指摘されている。
一方でRBS(コネティカット州スタンフォード)の通貨ストラテジスト、ブライアン・デンジャーフィールド氏は「こうしたイベント(米国債入札や金融庁の新制度に関する報道)がドル/円を押し下げるきっかけになったかもしれないが、ニューヨーク市場の午後になぜ全般的に円が強くなったかは、ポジション調整と流動性の低さで説明できる面の方が大きい」と話し、為替市場の現在の流動性は普段の夏場の午後よりも低調だと説明した。
通貨オプション市場では、ドル/円の1カ月物の予想変動率(インプライド・ボラティリティ)が約15%と、1年余りぶりの高水準に達した。
それでも市場関係者の間では、円は下落基調に戻るとの予想が支配的。日銀が大規模緩和を継続するのに対して、米連邦準備理事会(FRB)は年内に資産買い入れ規模の縮小に踏み切るとみられているためだ。
ユーロ/ドルは、一時2月下旬以来の高値となる1.3317ドルまで上昇した後、高値圏で推移。ドイツ憲法裁判所における欧州中央銀行(ECB)の債券買い入れプログラム(OMT)の合法性審理で、ECBのアスムセン専務理事が、OMTは物価安定確保に向けたECBの真摯(しんし)な姿勢を示すため無制限である必要があるが、事実上制約を受けているとの認識を示したことが、ユーロ/ドルを高値まで押し上げた。
ロイターのデータでは、豪ドル/米ドルは急落して0.9324米ドルと、2010年9月以来の安値になった。[ニューヨーク 11日 ロイター]