商業ビルや、住宅以外の建物の所有者は、省エネのために夜間の照明を消さなければならなくなった。特に、「光の都」と呼ばれたパリは、照明禁止の影響を最も大きく受けることになる。
フランスのテレビチャンネル「TF1」の報道によると、店舗や非住宅建物の所有者は、深夜1時までに、あるいは最後の従業員が建物を出てから1時間以内に、すべての内部照明を消すことを求められる。外部の看板や建物外壁のライトアップ等も、深夜1時から午前7時の間は消灯しなければならない。
照明禁止の実施の責任はそれぞれの市町村長が負い、照明を消さなかった企業には750ユーロ(約9万8000円)の罰金が科される。違反を繰り返した場合は電気の供給を止められる可能性もある。
環境・持続可能開発・エネルギー省が出した声明によると、この夜間照明規制により、年間で2億ユーロ(約260億円)の経費と二酸化炭素25万トン分の節約が期待できるという。
環境・持続可能開発・エネルギー大臣であるデルフィーヌ・バト氏は今年1月、全国的に照明を制限することによって、「光害」を減らすことになるとも説明した。[野生生物種の繁殖サイクルや渡り等に影響し、生態系に悪影響があるほか、人間の睡眠への影響も指摘されている]
規制には例外規定もある。エッフェル塔の夜間のイルミネーションは継続され、セキュリティ関連の点灯も維持される。クリスマス期間や祝日前夜等には規制は適用されない。[また、特別地区(パリ市内ではシャンゼリゼ、モンマルトルなど)でも特例措置が認められる]
ブルームバーグが昨年12月に報道したように、不要な照明をすべて消すという提案は、観光業界の業者からは多くの批判を受けてきた。
パリが「La Ville Lumiere(光の都)」と呼ばれるようになったのは、17世紀から18世紀にかけての啓蒙の時代に文化の中心とされたからだ。しかし、1800年代初期にガス灯が街灯として設置されたときに、この名前が本来の意味に近いものになったと「france info」では説明している。
[冒頭の写真は、2013年3月23日に行われた「アース・アワー」で照明が落とされたエッフェル塔。アース・アワーは、3月の最終土曜日に1時間電気を使わないというイベントで、2008年から毎年、多くの国や地方が参加して行われている。以下のギャラリーでは、「最も環境意識の高い米国の都市」ランキングを紹介している]
[Sara Gates(English) 日本語版:平井眞弓/ガリレオ]
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