ロシアは、世界初の移動可能な洋上原子力発電所を建造中だ。自走式ではなく、曳航によって、69人の乗組員とともに各地に移動するこの原発は、2016年までには稼働準備が整う可能性がある。
[リンク先の記事によると、建造中の洋上原発は「Akademik Lomonosov号」だが、ロシアは同様の洋上原発を大量に生産する計画。Akademik Lomonosov号の建造はもともと2007年に開始され、2008年にはBaltic Plant社が引き継いだが、これまでは資金難のため建造が一時中断されていた。Baltic Plant社は2012年12月にロシア国営のRosenergoatom(ロスエネルゴアトム)社と契約を結んだ。同国が50年ほど前から北極海で利用してきた原子力船の技術をベースにしているという]
製造会社は、津波や海上での衝突など、起こりうる諸問題には問題なく耐えられると主張している。そして、船の形をしたこの原発は稼働中に有害な廃棄物を放出することはなく、少なくとも陸上の原発と同じくらい安全だと主張している。
さらに、仮にこの2万1500トンの洋上原発で問題が発生した場合は、人口の多い地域から離れた安全な場所に移動することができる。もっとも、「The Verge」が指摘しているように、海上でのメルトダウンが安心できるとはとても思えないが。
発電能力は70MWで、人口20万人の都市に十分だとされており、石油やガス採掘の洋上設備や、独自のエネルギー施設を維持することができない地域の港湾周辺の都市や産業などに電力を供給する計画だ[ロシア北部と極東での利用が計画されている]。
さらに、輸出用のオプションとして、海水から真水を製造する工場を追加することもできる。1日あたり24万立方メートルの真水を作り出すことが可能だ。
この洋上原発には中国やインドネシア、マレーシア、アルゼンチンなど数カ国が関心を示しているという。
この洋上原発は、7月3日からサンクトペテルブルクで開催された「第6回国際海事防衛ショー」で、詳細が発表された。2016年の完成日に向けて順調に進んでいるとのことだ。
[Michael Rundle(English) 日本語版:平井眞弓、合原弘子/ガリレオ]