有料で快適な刑務所ライフ、作業免除も:米国

カリフォルニア州のある刑務所では、お金さえ払えば、より快適な刑務所ライフを送ることができるようになった。

カリフォルニア州のある刑務所では、お金さえ払えば、より快適な刑務所ライフを送ることができるようになった。

コミュニティメディア「Argus」の記事によると、同州フリーモント市の警察は、受刑者に対する「有料オプション」の提供を始めた。罪が軽く刑期が短い受刑者に限って、一時料金45ドルに加え、一泊につき155ドルを支払えば、こじんまりとした施設を利用することができる。

「刑務所であることに変わりはないですよ。特別なサービスは一切ありません」。今回の措置を担当しているフリーモント警察のマーク・デヴァイン警部は、Argusのクリス・デ・ベネデッティ記者に対してこう答えている。「寝台も毛布も食事の内容も、郡刑務所に収監されているほかの受刑者と同じです。違うのは、こちらの方が部屋が小さく静かであり、受刑者でいっぱいの状態を逃れられる点です」

KQEDの報道によると、アメリカ自由人権協会(ACLU)はこの措置に関して、「富裕層のための刑務所だ」と批判している。一方、この措置を決定した警察側は、フリーモント市の深刻な財政状況を助ける手段だと反論している。

1年の間にわずか16名の受刑者が週2回、「こじんまりとして静かな」施設を利用するだけで、フリーモント市は年間24万4000ドルの利益を得ることになる、とデヴァイン警部はArgusに対して説明している。

カリフォルニア州では、ここ数年で3つの自治体が破産申請を行なっている。ロサンゼルス市もあと2、3年しか持たないかもしれないと、カリフォルニア州の年金危機を回避すべく活動を行なう政治団体「カリフォルニア年金改革」(California Pension Reform)の代表ダニエル・ペリッシラー氏は語る

「ニューヨーク・タイムズ」紙の記事によると、「有料プログラム」を提供している自治体はフリーモント市が初めてではない。2007年時点ですでに、カリフォルニア州内に10施設以上ある。こういった策が導入されてからかなりの時間が経っているが、同州フラートン市のある刑務所が、有料プログラムを利用するある受刑者に対して携帯電話とコンピューターの利用を許可したと報道されたときには批判を呼んだ[リンク先にある、有料プログラムのリストによると、いくつかの施設では「iPodの持ち込み」や「作業免除」なども可能。飲酒運転で収監された人などが利用しているという]。

シンクタンクのカリフォルニア公共政策研究所によると、同州内にある33の成人向け刑務所には、2011年時点で14万4000人が収容されている。2008年および2009年には、受刑者1名につき平均で年間4万7000ドルの収容費がかかったと報告されている

[(English) 日本語版:遠藤康子/ガリレオ]

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