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2013年08月28日 14時54分 JST

コカイン吸入1回で脳の「配線」が変化

コカインを1回摂取しただけで、脳の配線が書き換わり、意思決定に大きな影響が及ぼされるという新しい研究結果を、カリフォルニア大学の研究者チームが発表した。

長期的な摂取によってそうした書き換えが起こることは、いくつかの先行研究で明らかになっていたが、今回の研究結果は、1回の摂取で脳が変えられてしまうことを示した点で驚くべきものだ。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校に所属するアーネスト・ガロ・クリニック研究センターと、カリフォルニア大学バークレー校の研究者らは、生きたマウスを使って、コカインが体内に取り入れられたときのマウスの前頭葉(意思決定と記憶を司る脳の領域)を観察した。研究者らによると、1回のコカイン摂取後に、新しい樹状突起スパインが大きく成長したという。樹状突起スパインとは「小枝のような形をした小さな組織で、ニューロンを繋ぎ合わせ、脳の配線回路の結合部を形成する」ものだ。

研究者らによると、この新しいスパインが脳の配線を書き換え、脳がコカインを求めるようになるという。このことは、薬物使用者において、薬物の探索が他の重要事項よりも優先されてしまう理由を示している。

以下に掲載した脳スキャンの連続写真は、コカイン摂取から数日間でスパインが変化していく様子を捉えたものだ。

緑色の矢印は新しいスパインの成長、青い矢印はスパインの消失を示す。黄色の矢印は、変化がないスパインを示す。

コカイン摂取による変化は、マウスの脳だけでなく、その行動にも現れた。コカイン摂取の前に、マウスは香り(シナモンとバニラ)とデザインが異なる2つの部屋を自由に探索できる環境に置かれ、そのうちのひとつを好みの部屋として選んでいた。その後、マウスはコカインを与えられ、その状態で、好みでない方の部屋にしばらく置かれた。すると、2つの部屋を自由に探索できる状態に戻されても、圧倒的に多くのマウスが、(自分のもともとの好みではなく)コカインが与えられた部屋を選ぶようになった。

「コカインが与えられた部屋を選ぶように好みが最も大きく変化したマウスは、スパインも最も大きくなっていた」と、カリフォルニア大学バークレー校の心理学および神経科学准教授で、研究論文の主執筆者であるリンダ・ヴィルブレヒト(Linda Wilbrecht)氏は、「ロサンゼルス・タイムズ」紙の記事で説明している。

ただし、ヴィルブレヒト氏はハフィントン・ポストに対して、脳は日常的に新しいスパインを成長させたり消失させたりしているため、コカインの摂取による配線書き換えも恒常的なものではないと指摘した。

「前頭葉は意思決定を制御しており、われわれは成長するにつれて、より習慣的に決定を下すようになる。だが、脳の配線は書き換えることが可能であり、数々の経験によって書き換えられている。したがって、コカインへの暴露によって通常よりはるかに大きく配線が書き換えられたとしても、正常に戻ることはできる。私は、このことを回復が可能な証拠だと考えている」とヴィルブレヒト氏は語った。

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[Robin Wilkey(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ]