塚本みずほ銀会長辞任、佐藤頭取は報酬半年返上
みずほ銀行がオリエントコーポレーション(オリコ)
放置していた大半の期間で同銀頭取を務めていた塚本隆史・現みずほ銀行会長が11月1日付で同会長職を引責辞任する。みずほFG社長も務める佐藤康博頭取は、どちらのポストにも留任するが、今後半年間、報酬は返上する。
塚本氏はみずほFGの会長職にはとどまるが、半年間無報酬となる。このほか、リスク管理担当の常務執行役員と法令順守(コンプライアンス)統括部長の執行役員が辞任する。また、FGと銀行の関係役員42人の報酬を1─6カ月間、5─40%減額するほか、関係した役員OB12人には同等の金額を自主返納するよう求める。
この問題については、弁護士などで構成する第三者委員会が同日、調査報告書を発表。その中で、みずほ銀行には暴力団への融資が自行の貸付債権であるという意識が希薄であったうえ、反社会的勢力との関係を断絶する重要性も十分に認識していなかった、と指摘した。みずほが金融庁に誤った報告をしていた点については、隠蔽の意図はなかったと結論付けた。
計画提出後の会見で佐藤頭取は、第三者委員会の調査報告書について「十分かつ適切だった」と評価。一方、今回の問題による業務への影響に関しては、「顧客取引など、経営の根幹を揺るがす問題になっていない」と述べた。
塚本氏に対して銀行会長職の引責辞任という佐藤頭取よりも厳しい処分を下した理由について、佐藤氏は、塚本氏の頭取としての在任期間は2年にわたっており、今年7月に就任した自分自身に比べて「責任期間が長い。金融庁検査の対応も塚本だったので重い処分になった」と述べた。
自らについては「辞任を考えたことはない」としながらも、今回の問題によって、経営の求心力となるべき自身の立場が「傷を負ったと考えている」とも語った。同時に、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行の一体化を推進してきた自身の指導力を強調、「みずほをもう一度原点に立ち返らせて強い組織にするには、私自身がもう一度全身全霊でそれに当たる必要がある」と続投に強い意欲を示した。
みずほ銀はオリコの提携ローンを通じて暴力団組員に合計230件、総額2億円の融資を行ったうえ、10年12月にその実態を把握しながら2年以上放置。金融庁が昨年12月から今年3月に実施した同銀行の通常検査でその実態が発覚した。金融庁は今年9月、同行に業務改善命令を出した。
さらに、当初は問題融資の情報が担当役員にとどまっていたと金融庁に報告していたが、実際には当時の頭取まで情報が上がっていたことが判明、金融庁から再度、報告命令を受けていた。
[東京 28日 ロイター]
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