中国が設定した防空識別圏について、日本とアメリカでは温度差がある。世界もそれに気がついている――。
中国共産党中央委員会の機関紙の一つ「環球時報」は12月4日、アメリカのバイデン副大統領が日本で発言した内容に触れ、日米の言動に差があるとの分析を一面で報じた。MSN産経ニュースが伝えた。
同紙は、バイデン氏が日米同盟を強調するなど日本の不安払拭に努めたが、中国に防空識別圏撤回を求める日本ほど踏み込んだ要求はしていないと指摘した。さらに「防空識別圏をめぐって米中間に対立はあるが、米国は日本に調子を合わせて踊るつもりもない」との専門家の分析を紹介した。
(MSN産経ニュース「【中国防空識別圏】日米の温度差を強調「米国は踊らない」 中国紙」より 2013/12/04 16:00)
バイデン副大統領は12月3日、安部首相との対談の中で、中国について「東シナ海の現状を一方的に変更しようとする試みを深く懸念している」と述べている。しかし環球時報は、「懸念は表したようだが、中国へ撤回を求めるというような発言はなかった」と指摘。バイデン副大統領は慎重に発言し、アメリカは日本と中国の仲裁に立つという立場を守ったとしている。
環球時報では、日米による「共同宣言」が行われなかったことや、バイデン副大統領が、日本のTPPの早期加入や普天間基地の移設問題なども何度も話したことなどをあげ、「友好」を強調した報道がされている日本と、日米の温度差を報じるブルームバーグやワシントン・ポストなどアメリカのメディアの差を指摘している。
バイデン氏の訪中も、オバマ政権の新たなアジア政策の一環である。しかし米国は中国との新型大国関係の発展が、日本の疑いを招くことを懸念し、日本を初の訪問先に選んだ」と指摘した。
(中国網『米国が共同声明拒否 中国防空識別圏問題で日本との間に「温度差」』より 2013/12/04 11:04:11)
バイデン副大統領は、4日に中国入り。このあと習近平国家主席や李克強首相らと会談する予定だ。
バイデン副大統領は、2011年の訪中以来、習氏と親交を深めてきたと言われている。しかし、あまり芳しくない米中関係が続くなか、今回のバイデン副大統領の訪中の目的は、存在するにもかかわらず使われていない米中ホットラインの回復だとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘する。
中国でのバイデン副大統領の仕事は、オープンなままの通信連絡ラインを確保することだろう。習主席との個人的な紐帯は、ますます重要になる。米中間で相互不信が根強く、緊張の時期には公然たる敵対状態に陥る恐れがあるだけになおさらだ。
(ウォール・ストリート・ジャーナル「バイデン米副大統領、習近平主席と会談へ―個人的つながりがカギ - WSJ.com」より 2013/12/04 11:31)
米中関係の改善が最優先。そんな状態で、日本のことをどのように俎上に上げるのか、バイデン副大統領の発言が注目される。
【※】バイデン副大統領の発言やアメリカの対中政策について、あなたはどのように考えますか。ご意見をお寄せください。
関連記事