体重の6割を減らす「ダイエット番組」、懸念の声も

アメリカのテレビ局NBCは、ダイエット・リアリティ番組「ザ・ビッゲスト・ルーザー」を放映している。最新シリーズでは、元の体重の6割を減らした24歳のレイチェル・フレデリクソンさんが優勝し、25万ドルの賞金を手にした。

アメリカのテレビ局NBCは、ダイエット・リアリティ番組「ザ・ビッゲスト・ルーザー」を放映している。最新シリーズでは、元の体重の6割を減らした24歳のレイチェル・フレデリクソンさんが優勝し、25万ドルの賞金を手にした。

フレデリクソンさんは、ロサンゼルス出身の元競泳選手で、現在は声優として活躍している。番組のスタート時には約117キロあった体重を、最終回では約47キロまで落とした。

彼女がステージに登場したとき、番組のトレーナーを務めるボブ・ハーパー氏とジリアン・マイケルズ氏も、ショックを受けたようだ。彼らはゆっくりと手をたたきながら、「オーマイゴッド」という表情になった。

フレデリクソンさんの身長は約165センチだと伝えられており、ボディマス指数によると、現在の体型は「低体重」に当てはまる。また、番組が記載するように、撮影期間のおよそ5ヵ月間で70キロを減量したとすれば、1日に平均して0.5キロを減らしたことになる。

「ザ・ビッゲスト・ルーザー」最終回のスクリーンショット。番組開始時のフレデリクソンさんの体型を、ホログラムで見せている。

「ダイエットの神話」に関する研究論文を発表したクリスタ・カザッツァ助教授(アラバマ大学バーミンガム校)は、1日に0.5キロの減量はふつうは健康的ではないと指摘する。ただ、フレデリクソンさんの場合は競泳選手だったので、一般人とは違う可能性もあるとのことだ。

ただし、番組トレーナーがついて減量を行っていたときはもう少し健康的そうだったが、最終回にはやせすぎに見えた、とカザッツァ助教授は懸念する。フレデリクソンさんのような急激な減量は、骨量を減少させ、骨髄脂肪を増やすことにつながり、心臓発作や高血圧といった心臓血管の問題や、骨折のリスクを高める可能性があるという。そして、これらの問題を防ぐためには、もともと筋肉質だったフレデリクソンさんの体型を考慮して、55~60キロ程度まで体重を増やすことを勧めている。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校栄養センターのスーザン・ボワーマン氏も、劇的な減量は通常は危険だと指摘する。筋肉組織や器官の組織にダメージを与える場合があるというのだ。

ボワーマン氏はさらに、「体重を減らすより、減らした体重を維持するほうがずっと難しい」と指摘する。減量したことで、逆に体脂肪を増やしてしまう場合もある。例えば、痩せたり太ったりを繰り返すと、体脂肪率が増え、筋肉が減ってしまう。そうすると、体重の調節がかえって難しくなるのだという。

「ザ・ビッゲスト・ルーザー」は、その過激な減量方法で、これまでにも非難されたことがある。過去には、出場者が激しい競争のあまり入院したり、カフェインのサプリメントを摂取したりということもあった。

しかし、もっとも確実な証拠となるのは、厳しい秘密保持契約を破って、番組が勧めた減量方法を明らかにした過去の出場者たちの証言だろう。番組の最初のシリーズで優勝したライアン・C・ベンソン氏は、2009年の米紙『ニューヨーク・タイムズ』の記事のなかで、「最終回までに約55キロを減らす目的で実践した極端な脱水方法のせいで血尿が出た」と話している。

3シーズン目で決勝に出場したカイ・ヒバード氏は、ボディイメージコーチで作家のゴルダ・ポレスキー氏に対して、「最終回に向けた減量で気力が落ちて摂食障害になり、対応のために家族が介入した」と語っている

[Anna Almendrala(English) 日本語版:兵藤説子/ガリレオ]

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