稲嶺進・名護市長、辺野古移設は「日本の民主主義が問われる」 東京で会見

沖縄県名護市の稲嶺進市長が会見。アメリカ軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について反対している稲嶺氏は、移設を進めている政府に対して「日本の民主主義を問う必要がある」と批判した。
中野渉

沖縄県名護市の稲嶺進市長が2月13日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見した。アメリカ軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について反対している稲嶺氏は1月19日の市長選で再選された。選挙結果には名護市民の民意が表れているとし、移設を進めている政府に対して「日本の民主主義を問う必要がある」と批判した。

稲嶺氏は2月12日、沖縄県を訪問したアメリカのキャロライン・ケネディ駐日大使と初めて会談した。

稲嶺氏は会見で、市長選では辺野古移設を積極的に推進する候補者と、反対する候補者である稲嶺氏との一騎打ちになったことに触れ、「選挙結果は、名護市民の民意がはっきりと浮き出されたものだと思っている」と強調した。その一方、「投開票日の翌々日には工事入札の公告が出されるなど、政府は強行に移設を進めようと躍起になっている」と述べた。

さらに「民主主義国家は選挙結果や民意を重要視すべきだが、これを全く無視するかのように進められており危惧している。日本の民主主義はこれでいいのか内外に問う必要がある」と話した。

また、辺野古への移設案について「飛行場が単に横滑りして来るだけではない。新しい機能を持った施設であり、名護市民はさらに大きな負担を被らないといけない」と続けた。移設予定地の大浦湾にはサンゴとジュゴン、ウミガメが一緒に泳いでいることにも言及し、「この自然を潰して造られるとは理不尽だ」と語った。

さらに、「基地から派生する事件・事故は人権問題。これらの状況を国民のみなさんに理解していただきたい。負担はみんなで引き受けるべきだ。基地関連の収入が無くなっても沖縄が困ることはない」とした。また、「昨年(2013年)12月に、国会議員や沖縄県知事らは、政府の圧力に屈して、(辺野古移設を認めないという)公約を破棄にした。金を積めば何とかなるの、という誤ったメッセージを送ったと思う。しかし、それは違う」と述べた。

■「市民の安全や財産を守る」

質疑の要旨は以下の通り。

--市長として、どうやって移設反対の意志を政府に伝えていくのか。

日本の民主主義の成熟度が試されると思っている。移設にあたって国が市長の同意を求める項目がある。市民の安全や財産を守るという点から権限を行使していく。

--昨日ケネディ大使と会った印象は。

辺野古問題への具体的な話はなく、私の話の聞き役という感じだった。私の政治家としての経験について、関心を持って聞いていただいたと思った。

--基地を日本本土に持っていくということか。

世界規模でアメリカ軍を改編する話がある。ハワイやグアムなどに比重を移す話がある。一体、沖縄にどれだけの海兵隊が残るのだろうか。素人ながらそういう疑問を持つが、誰も何も答えてくれない。沖縄の施設は「なければならない」というものではないのではないか。「移設ありき」は思考停止の状況にあることの証左であり、「そもそも論」を議論すべきだ。

--沖縄の市街地に基地があることが問題の一つだ。具体的にどうすることで基地負担を減らせるのか。

辺野古の移設をしても、政府が言っているような負担軽減にはならない。辺野古に移設されると、アメリカ軍基地の負担を子や孫、その子どもまでが被害を受けながら生きていかないといけない。「なぜ移設するのか」という説明がきちんとなされていない。

--アメリカが辺野古を望んでいるのか。

沖縄県民や名護市民に責任転嫁している。移設計画が持ち上がってから17年が過ぎたのに何も進展してないのは、市の責任ではない。私の前の三代の市長と県知事は容認姿勢だったが、実行できなかった。それを県民や市民の責任と言われても違うのではないか。

アメリカは辺野古でないといけないとは言っていない。日本の外相がアメリカの国務長官に対して「辺野古」と言っているだけだ。アメリカが辺野古に固執しているのではないと思う。

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普天間飛行場の様子 画像集

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