ウクライナ東部での親ロシア派のデモ隊による庁舎の占拠が4月12日、4都市に新たに拡大した。7日に州庁舎が占拠されたドネツクの北部にあるスラビャンスクでは、警察署が武装勢力によって占拠された他、周辺の都市クラマトルスクでも武装集団が警察署を占拠する際に銃撃戦が発生するなど、混乱が続いている。ロイターなどが伝えた。
アルジャジーラによると、銃とライフルで武装した少なくとも20人の集団がスラビャンスクの警察署を急襲し、警察署と治安組織の本部を占拠した。武装集団は建物内の武器庫から数百丁の銃を持ちだし、ウクライナ国旗をおろして新たにロシア国旗を掲げた。
ウクライナ暫定政権のアバコフ内相は、自身のFacebookページで、各地で政府機関を占拠するデモ隊や武装集団を「分離派」と名付け、スラビャンスクにウクライナ軍の特殊部隊を派遣することを表明した上で、「我々は非常に厳しく対処する。テロリストには一切容赦しない」と警告した。
また、BBCによると、クラマトルスクの警察署に侵入しようとした武装集団と、警察官との間で数分間の銃撃戦が発生したが、最終的に警察署は占拠された。
ヤヌコビッチ前大統領の本拠地ドネツクでは7日、親ロシア派によって政府機関が占拠され、「ドネツク人民共和国」の創設が宣言された。NHKニュースによると、12日にも、ロシア系住民のデモ隊およそ1000人が州の警察本部に詰めかけ、トップの辞任を要求した。
デモ隊は庁舎にドネツクの旗を掲げたり、中に入ろうとして責任者と口論になったりするなど一時、緊張が高まりましたが、警察官らが次々と建物の外に出てきてデモ隊を支持する意向を示すと、本部長もデモ隊の前に姿を現し、辞任する考えを示しました。
(NHKニュース「ウクライナ東部 混乱広がる」より 2014/4/13 07:01)
ウクライナの新聞「キエフポスト」によると、ウクライナ東部の政府機関占拠はスラビャンスク、クラスヌイリマン、クラスノアルメイスク、ドルシコフカの4都市に拡大している。
緊迫の度を高めているウクライナ情勢だが、衝突は散発的で、大規模な流血の事態には至っていない。MSN産経ニュースでは現状を次のように分析している。
各地で親露派が勢いづいた背景には一時は強制排除も辞さない姿勢をみせていたウクライナ暫定政権が、流血の事態を避けるため、治安部隊による実力行使を控えていることがある。
ロシアの対抗策を招く恐れもあるためで、ヤツェニュク首相は現時点で「平和的解決が唯一の選択肢」と述べている。
(MSN産経ニュース「東部占拠、4都市に拡大 特殊部隊が親露派に寝返りか」より 2014/4/13 01:33)
ロシア系住民のデモに歯止めがかからないウクライナ情勢。11日にはアメリカのルー財務長官が、「ロシアが危機をエスカレートさせる行動をとれば、制裁を強化することで、G7内に広範囲かつ力強い結束がある」と表明。また、ロシアを除いたG7首脳会議を6月4〜5日にベルギーのブリュッセルで行うことが発表された。
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