近親相姦の「不当な賛美」って何? 「不健全」漫画指定
出版大手KADOKAWAの漫画「妹ぱらだいす!2」を先月、東京都が「不健全図書」に指定した。描写の過激さではなく、物語の設定を理由に性描写を規制する都青少年健全育成条例の新基準の初適用だ。何が“不健全”とされたのか。
2010年末の条例改正時に「表現の自由を侵す」との批判が上がった新基準は、刑罰法規に触れたり近親者間で行われたりする性行為を「不当に賛美・誇張」した描写のある漫画やアニメ、ゲームなどについて、18歳未満への販売・閲覧を規制するというもの。
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「妹ぱらだいす!2」はすべて母親の違う妹5人と同居する主人公と妹たちとの性行為が描かれるが、性器部分は消してある。
この作品について、出版関係者や保護者団体代表らでつくり毎月開かれる都青少年健全育成審議会が都の諮問を受け、「不健全図書に指定すべきだ」と答申。都が指定した。
都青少年・治安対策本部総合対策部の勝又一郎・連絡調整担当課長は「描かれているのは明確に兄妹間の性行為であり、かつ物語全体が、それを『よくないこと』として描いていないことが『不当に賛美・誇張』にあたる、と審議会が判断した」と話す。
だが、諮問前に都が出版・販売関係の業界団体に聞き取りをしたところ「倫理的に問題」「主人公の男性が近親者間の性交を日常的な行為と考えている」として「指定該当」とする意見がある一方、「内容自体、非現実的。ひわい感もなく、この程度ならば許容範囲」「近親相姦(そうかん)を『不当に賛美』しているとは言えない」と指定に反対の意見もあった。
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(朝日新聞社提供)
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