「敵」の首を切り落としたり、死体を十字架に磔(はりつけ)にしたりするイスラム過激派武装組織「イラクとシリア(シャーム)のイスラム国家(ISIS)」(別名ISIL)の指導者、アブ・バクル・アル・バグダディ容疑者(アメリカ国務省は2011年、拘束に繋がる有益な情報に対して1000万ドルの報奨金を支払うと発表している)。が、初めてビデオに登場し、世界中のイスラム教徒に忠誠を呼びかけた。
ISISはすでに、イラクとシリアの広範に及ぶ地域を掌握した後、バグダディ容疑者を「カリフ(預言者ムハンマドの後継者で、イスラム国家の最高指導者)」とする「イスラム国」の樹立を宣言していた(日本語版記事)。
バグダディ容疑者は謎の多い人物と考えられており、ビデオに登場するより書面での声明を好んできた。今回のビデオが本物なら、バグダディ容疑者が攻撃で殺害されたか、または負傷したと伝えていた複数の報道と矛盾する。
バグダディ容疑者は、黒のターバンを巻いてローブを身にまとい、背後に扇風機を置いた壇上で、翻訳によれば次のように語った。「長年にわたるジハード(聖戦)と忍耐を経て、神は、ムジャーヒディーンの兄弟たちに勝利をもたらした。そこで彼らはカリフの統治を宣言し、指導者たるカリフを置いた」「これは、何世紀にもわたって失われていた、イスラム教徒に課せられた義務だ」
「私は、あなたがたを取りまとめるワリ(指導者)だが、この中で最も優れた人物というわけではない」「私が正しいときには、私を支えてほしい。私が間違っていたら、助言をして、正しい道に導いてほしい。そして、私があなたがたの中の神に従う限りにおいて、私に従ってほしい」
今回のビデオに先立ち、バグダディ容疑者は、ISISは中東からヨーロッパにわたる広い範囲にイスラム国家を樹立することを目指しており、将来はローマに侵攻すると主張していた。
「このイスラム国家に移住できる者は移住するべきだ。イスラムの地(House of Islam)への移住は義務なのだから」と、バグダディ容疑者は書面で述べている。
「イスラム教徒よ、自らの国家へ急げ。これはあなたがたの国家だ。シリアはシリア人のものではなく、イラクはイラク人のものではない。この地はイスラム教徒、すべてのイスラム教徒のものだ」
「これは私からあなたがたへの助言だ。屈することなく貫き通せば、ローマを征服し、世界を手に入れることができるだろう。インシャラー(アッラーの御心のままに)」
なお、ISISは「年次活動報告書」を発表(日本語版記事)している(文末スライドショーで紹介)。
[(English) 日本語版:湯本牧子/ガリレオ]
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