【スコットランド】なぜイギリスから独立めざすのか? 9月18日に住民投票

イギリスの国旗として慣れ親しんだ「ユニオンジャック」のデザインが変更されるかもしれない。この旗はイングランド、スコットランド、アイルランドの3つの国旗が掛け合わせてできているが、スコットランドがイギリスから独立する可能性があるからだ。

イギリスの国旗として慣れ親しんだ「ユニオンジャック」のデザインが変更されるかもしれない。この旗はイングランド、スコットランド、アイルランドの3つの国旗を掛け合わせてできているが、「青地に白」旗のスコットランドがイギリスから独立する可能性があるからだ。

独立の是非を問う住民投票は9月18日に迫っている。もし独立を達成すれば、1707年にイングランドに合併されて以来、300年ぶりとなる。なぜスコットランドで独立論が浮上しているのか追ってみた。

■北海油田の発見で独立論が浮上

スコットランドは上記のイギリス地図の青い部分。グレートブリテン島北部の3分の1を占める面積約8万平方kmの国土に、イギリス全体の約1割にあたる525万人が住む。日本の北海道の面積・人口とほぼ同じだ。

イングランド、ウェールズ、北アイルランドと共に連合王国であるイギリスを構成している。中世には独立した王国として南隣のイングランドと攻防を繰り返したが、17世紀に同じ王を抱く同君連合が結ばれて、1707年に統一された。

かつてのスコットランドの主要産業は石炭だった。イギリスの産業革命を支え、グラスゴーの造船業・機械工業は大英帝国の栄光をもたらす原動力となった。さらに1960年代に北海油田が開発されると、石油基地として大きな発展をとげたが、油田の主要海域を抱えているのに英国政府に財源を管理されることへの経済的な不満が膨れあがっていった。

MSN産経ニュースでは、イギリスからの独立を掲げるスコットランド民族党の主張を、次のように伝えている。

独立を目指す背景には、1960年代に発見された北海油田の存在が色濃い。欧州最大の埋蔵量とされる石油・ガス資源を支配下に置くことで、独立すれば1人当たりの所得が年1000ポンド(約17万円)増えると主張している。

(MSN産経ニュース「スコットランド 英国はやはり一つがいい」より 2014/08/20 03:08)

こうして独立派は支持を増やし、1997年の住民投票の結果、99年にスコットランド議会と自治政府が設立された。独立派のスコットランド民族党は、2011年の議会選挙で過半数を獲得。アレックス・サモンド党首がスコットランド自治政府の首相に就任した。こうして、独立の是非を問う住民投票が実施されることになったというわけだ。

■スコットランド独立後の青写真は?

2013年11月、サモンド首相が、スコットランド独立の基本理念をまとめた白書を発表している。独立する日は2016年3月24日、EUに加盟し、通貨は英ポンドを維持。核ミサイルを搭載した潜水艦は、スコットランドから移動させるという。

649ページからなる白書では「もっと民主的で、もっと繁栄した公平な社会の実現」を謳ったうえで、独立が承認された場合、16年3月24日を英国からの独立の日とし、核ミサイル搭載戦略原潜は英国に戻すほか、英通貨ポンドは維持しながら欧州連合(EU)加盟を目指すと表明した。

(MSN産経ニュース『独立スコットランドの理念発表 「2016年3月が“離脱の日”」』2013/11/26 22:31)

こうした中、イギリスはポンドの使用を認めない方針で、独立論を押さえ込むのに必死だ。キャメロン首相は2月7日、独立せずにイギリスに留まるように訴えた。

キャメロン英首相は7日、ロンドンで演説し、英国からの独立の是非を問う住民投票を年内に行うスコットランドに対し、英国に留まるよう呼び掛けた。首相は、スコットランドの独立は英国の世界的な影響力を低下させ、英国の金融および政治的な安定を脅かすと述べた。

首相は「われわれは英国として統一している方が、政治、軍事、外交および文化の面で間違いなく意味がある」とし、「スコットランドを失い、英国(の形)が変われば、われわれの名声は台無しになる」と訴えた。

(ロイター「英首相、スコットランド独立阻止へ呼び掛け」より 2014/02/10 10:47)

イギリスにしてみると、スコットランドに独立されるのは大きな痛手だ。同じく連合王国を構成する北アイルランドやウェールズにも独立運動が飛び火しかねない懸念があるからだ。そうなれば、旧ユーゴスラビアと同様に、国家が解体されてしまう。そうでなくても、スペインのバスク地方など、周辺国の過激な分離独立運動を刺激し、欧州全体で民族紛争が活発化することも考えられる。

イギリス国内の著名人の間でも意見が割れている。スコットランド出身の俳優ショーン・コネリーさんや、同じく映画にもなった小説「トレインスポッティング」の作者アービン・ウェルシュさんは独立を支持している。その一方でスコットランド在住の「ハリー・ポッター」シリーズの作者J・K・ローリングさんなど独立反対派も多い。

英ロックバンド、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーさんや歌手のスティングさん、車いすの理論物理学者、スティーブン・ホーキングさんら著名人約200人が先日、連名で独立反対を表明。歌手のデビッド・ボウイさんも独立反対を呼びかけている。

(毎日新聞「スコットランド独立:著名人も論争熱く 投票まで1カ月」より 2014/08/19 11:51)

調査会社ユーゴブが8月7日に発表した調査結果では、スコットランド独立に反対する人の割合は55%、賛成は35%にとどまった。その一方で、8月25日に開かれた独立の是非をめぐる第2回テレビ討論会では、視聴者アンケートで、独立に賛成するサモンド首相が、反対派のダーリング前財務相に圧勝している

スコットランドの住民投票の行方がどうなるか目が離せなくなりそうだ。

【UPDATE】NHKニュースによると、9月13日に発表された世論調査では、独立に賛成が54%、反対が46%と賛成派がリードしている。ただし、逆に反対派が上回っているという別の調査結果も伝えられており、依然として接戦が続いている状態だ。(2014/09/16 16:42)

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

関連記事

注目記事