主婦は負担増に? 配偶者手当削減に年金保険料負担 政府で議論されている内容とは

安倍首相が「配偶者手当」の見直しを検討するよう指示した。配偶者控除や年金保険料の負担など、主婦にとっては負担増になることが議論されている。
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安倍晋三首相は10月21日に開催した経済財政諮問会議で、官公庁や民間企業の約7割の社員に支給されている「配偶者手当」の見直しを検討するよう指示した。女性の就労拡大につなげるのが狙いで、先行して国家公務員の配偶者手当見直しを行うという。

■配偶者手当は「段階的に削減」

経済財政諮問会議とは、安倍政権において経済政策や財政運営の方針などを議論するもので、関係閣僚だけでなく民間の有識者議員も参加して行われる。この日の会議では、女性の働き方に中立的な税制・社会保障制度などについて議論が行われ、民間議員から配偶者手当や配偶者控除、主婦の社会保険料の負担の見直しについて提案があった。

配偶者手当は、官庁のほか民間企業の7〜8割が支給している。月額の支給額は国家公務員で1万3000円、民間企業では平均1万4347円だが、配偶者の年収が一定額を超えると打ち切りになることが多く、女性の働く意欲を阻害しているという指摘があった。

このため有識者議員は、配偶者の年収に応じて階段的に削減することを提案。また、子育て支援の観点からも、配偶者手当に限らず家族手当全体のあり方について検討すべきと指摘した。

■配偶者控除、共働き世帯と同額に

配偶者控除については、妻の給与収入が年間65万円〜141万円までの人が優遇されているという指摘が出ていた。夫婦2人に適用される控除の合計額が、76万円を超える状況になっていたためだ(下記画像の緑色の部分)。

このため、有識者議員は、配偶者の給与所得の有無に関わらず、共働き世帯であってもなくても夫婦に対しては一定額の控除を付する制度にするよう議論を進めるべきと指摘した。

■配偶者控除、共働き世帯と同額に

さらに有識者議員は、主婦の年金保険料負担についても言及した。

現状は妻の収入が130万円以下であれば、夫の被扶養者として扱われ、保険料納付義務が発生しない。しかし、130万円を超えると夫の扶養から外れ、社会保険料負担が発生することにより、130万円を境に「手取りの逆転現象」が生じる。

このため有識者議員は、給与や働き方に応じて段階的に負担をしていく案や、厚生年金の適用を拡大する案などを提案した。

2016年10月からはパートタイマーの厚生年金適用基準が拡大され、週20時間以上の就労で月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)という条件を満たせば、厚生年金に加入するようになる。塩崎恭久厚生労働相はさらにこの枠を拡大し、週20時間以上の就労で月額賃金6.9万円(年収83万2000円)以上の条件案を提示した。この条件では、月額6000円ほどの厚生年金保険料を支払う試算となっている。

しかし、雇用する側からみても、労働時間が一定水準を超えると会社が保険料を負担しなくてはいけないため、就業時間を調整する実態がある。毎日新聞によると、有識者議員の一人は会議の中で「年内にも何らかの結論が出ることが望ましい」と早期の改革着手を主張したとされるが、企業にとって負担増につながる面も多く、日本経済新聞は「実現には時間がかかりそうだ」としている。

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