「民主主義のために自由な報道をする」 ハフポスト・インド版スタートで編集長語る

ハフポスト・インド版が2014年12月8日、開設した。インド版編集長のスルティジス・KKさんとハフポスト創業編集長のアリアナ・ハフィントンさんに話を聞いた。
Wataru Nakano

インターネットニュースサイト「ザ・ハフィントン・ポスト」インド版が2014年12月8日、開設した。世界で13番目、アジアでは日本、韓国に続く3番目となる。約12億5千万の人口を抱える巨大新興国で、ハフポストはどう展開していくのか。インド版の開設式の後、スルティジス・KK編集長(30)とアリアナ・ハフィントン・ハフポスト創業編集長(64)に話を聞いた。

――まず、インド版を開設する意義は?

アリアナ・ハフィントン ギリシャ・アテネ出身。イギリスの大学を卒業後、作家・コラムニストとして活躍。その後はアメリカに渡り、2005年に「ハフィントン・ポスト」を立ち上げた。

アリアナ かつて(インド東部)コルカタの大学で比較宗教学を学んでいました。その際に全国を旅してからインドに恋していました。開設にはひときわ感慨深いのです。

インドは膨大な人口を抱えています。歴史や食べ物、精神世界の伝統など様々な話題があります。中産階級は成長を続け、IT(情報技術)も発展しています。ハフポストはそれらの話を写真や動画も使って伝え、議論の場を提供します。

スルティジス 興奮します。読者に最新のニュースを届け、議論の場を設けます。有益なストーリーを読者と分かち合いたい。

――どういうサイトにしたいですか。

スルティジス・KK インド南部ケララ州出身。新聞やネットメディアの記者や編集者などを経て就任した。前職は新興ネットメディア「Quartz」インド版の編集者。

スルティジス 女性の安全と平等、マイノリティーの権利、また子供の虐待や人身売買といった懸案に向き合う覚悟です。

その一方で、エンターテインメントやライフスタイルなどの記事もそろえます。インド映画界「ボリウッド」の話題も欠かせません。

――開設初日にモディ首相の就任半年を振り返る記事がありました。政権を批判できますか。

スルティジス もちろんです。民主主義には自由な報道が欠かせませんし、読者も望んでいます。

アリアナ インドは目覚ましく発展していますが、政治は汚職が多いと聞きますし、貧富の差は拡大しています。社会問題にも積極的に取り組んでほしい。

――米国版や日本版との連携をどう考えますか。

アリアナ ニューヨークのハフポスト本部が母船となり、日本など各国版の情報を提供して結びつけていきます。

スルティジス 日本版とも記事やブログを交換し、連携します。緊張する日中関係はアジアに大きな影響を与える問題として、インド人も強い関心を持っています。スズキやヤマハ、パナソニックなど日本ブランドや和食は生活に溶け込み、日本の作家も人気です。そんな話題を伝えます。

■レイプや学校襲撃事件、発信

ハフポスト・インド版の開設初日のトップ記事。配車アプリUberを使った女性が運転手に強姦された事件を大きく報じた

インド版の開設直後、スプラッシュ(大きな写真をあしらったトップ記事)に連日掲載されたのは、スマートフォンで配車サービスを提供する「Uber」を使った女性が運転手に強姦された事件だ。インドではレイプ事件が続発しており、記事ではツイッター上などでの怒りの言葉を紹介。日本版でも注目を集めた。

またその後は、隣国パキスタンで起きた武装勢力による学校襲撃事件を精力的に伝えた。長年の領土問題を抱える印パだが、非難と悲しみの声を交えて詳報。日本など他国版もこれを転載した

使用言語は英語。米英版などの英語記事を素早く転載できるのが強みだ。インドの最大手英字紙タイムズ・オブ・インディアのグループ企業タイムズ・インターネット社と提携する。

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