PRESENTED BY SK−II

運命は変えられる。アジア人初のボストン・バレエ団トップダンサーが語る「不可能を越える力」

倉永美沙さんは、北米の名門ボストン・バレエ団のプリンシパル(最高位ダンサー)として活躍するバレリーナだ。体格に恵まれた西洋人の中で、小柄な彼女が輝くには理由がある。

「自分には才能がない」

誰もが一度は思ったことがあるだろう。そして同時に他人と自分を比べて劣等感を抱き、自分の夢を諦めたことはないだろうか。

倉永美沙さんは、北米の名門ボストン・バレエ団のプリンシパル(最高位ダンサー)として活躍するバレリーナだ。日本人がアメリカのバレエ団のトップを務めることは想像を絶するほど困難を伴う。それは、技量や実力よりも体格や顔つきなど遺伝的な壁が立ちはだかるからだ。彼女自身、自らのコンプレックスに打ち負けそうになったことが何度もあるという。しかし、ボストン・バレエ団の中央で彼女は誰よりも華やかに舞い、見る者の心を捉えて離さない。

今回、ハフポストUS版ではプレステージスキンケアブランド「SK-II」のパートナーシップのもとに倉永さんにインタビューする機会を得た。彼女は一体どのようにしてコンプレックスを乗り越え、運命を変えたのだろうか?

「私の体格はバレエをするのに完璧なプロポーションではないのです」

倉永さんがバレエを始めたのは7歳の時だった。母親からは小柄な体格を活かせるフィギュアスケートを勧められたが、幼い少女は自分の進むべき道がわかっていたという。

「私は日本人の中でも小柄だったため、他のダンサーに埋もれてしまうことが多く、幼い時からとても苦労しました。でも、他の分野に目もくれずに、一心にバレエと向き合って練習を続けました。私の人生はバレエなしには考えられない。それくらい没頭しました」

倉永さんは10代のうちから国際的に評価され、サンフランシスコ・バレエ団の実習生に抜擢される。しかし、アメリカの地に降り立った時、越えようとしてきた壁の高さを改めて実感することになったそうだ。日本にいた時ですら感じていた身体に対する評価は、アメリカの方が比べものにならないほどに厳しかった。156cmという小さな身長に華奢な腰つき、そして控えめな目鼻立ちは、表情に蓋をする。プロポーションに恵まれた西洋人の中で、彼女は役を得ることが出来ず解雇されたのだった。

世界のトップバレリーナとして活躍する倉永美沙さん

コンプレックスを克服することでわかった「真の美しさ」

アジア人である自らのDNAを悩むほどに、倉永さんは絶望の淵に立ったという。日本であれば評価されるものの、海を渡った途端に全く通用しなくなる。それも先天的な理由で。しかし彼女は諦めることなくニューヨークに渡り、スクール・オブ・アメリカン・バレエの門をたたいた。クラス中でアジア人はたった1人。そして彼女が一番の年長者だった。劣等感に押しつぶされそうな状況下で鍛錬を重ねた結果、小さな身体全体を使った動きを修得したという。小柄だからこそ彼女は誰よりも俊敏に舞うことができるのだ。

SK-IIさん(@skii)が投稿した写真 -

自らのコンプレックスを認め、まい進する姿勢にこそバレエの魅力があると倉永さんは語る。「バレエは、フィジカル面はもちろんメンタル面でもとてもハードです。素晴らしいプロポーションを持っていたり、技術が優れていても完璧な美を体現することは困難だからです。造形的に完璧なバレエを見ても心に響かないところがあるくらいに。でも、ただひとくくりに完成しないところに魅力がある気がします」

そんな倉永さんが思う「人の心を動かしうる美しさ」とは一体何なのだろうか。彼女はそれを「想い」だと言う。「私が感銘をうけたのはボストン・バレエスクールで見たたった5分間のデモンストレーションです。そこで踊っていた女性はセンターに立つこともなく、スポットライトが当たる人でもありませんでした。技術でも華やかさでもなく、彼女の熱い想いが私の胸に響いたのです。ステージにかけるパッションは見ている人の心を揺さぶる……それこそが美しさなのだと思います」

コンプレックスの源泉は既成概念だろう。「最適な身体」や「美しさ」といったものは、本来多義的なものであるにも関わらず、人は物事を杓子定規にはめたがる。他人の目ではなく自恃(じじ)を持ち、突き進むことが大事だと彼女は言う。一般的なバレエの枠ではなく、自らが想うバレエ像を追求していった先に彼女の成功があったようだ。

「私は、生まれつきバレエにおいて完璧なプロポーションを持っていなかった。それゆえ、どれだけ努力しても西洋生まれのダンサーを越えられない部分はありました。でも、それは一部であってすべてではないのです。私が今日を迎えられているのは不屈の精神を持っていたからだと思っています。コンプレックスに負けないで、挑戦し続ける。自分が想う美しさへ貪欲にトライする姿勢が今日の私を作っているのだと思います」

「私はコーチにもすごく恵まれているのですが、彼女たちは必ずしもボストン・バレエ団に所属しているわけではありません。生まれ持った資質や所属といった“所与の運命”は、絶対ではないのです。誰もがコンプレックスを抱えて生まれてきます。他人の価値観に揺るがされることなく、自分のゴールに向かって突き進むことこそが運命を変える方法だと私は信じています」

コンプレックスは「自分は才能がないからダメなんだ」と甘くささやき、決められた枠に私たちをとじこめるだろう。そんな所与の運命に屈さず、自分の信念を貫き通すーーこれこそが倉永さんの言う「想い」であり「美しさ」なのではないだろうか。彼女は世界を代表するバレリーナとして活躍している。けれどもその栄光を手にするまでには、誰しもが向き合うコンプレックスという名の壁を乗り越えてきた軌跡があるのだ。彼女は誰よりも美しく舞う姿で語る。

「運命は生まれながらに決まっているものではなく、変えていくものなのだ」

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倉永美沙さん